[背景・ねらい] |
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県内では定植2年以上経過したりんどう株において、チビクロバネキノコバエ Bradysia agrestis Sasakawa などのクロバネキノコバエ類の幼虫が見られることがあるが、多くの場合は、枯死または腐敗した部分から食入した二次的被害で、当面は本畑での防除は必要ないと考えられた。
一方、りんどう育苗時には腐植質に富む市販培土が使用されるため、育苗培土に多数のクロバネキノコバエ類幼虫が産卵・寄生し、育苗中の苗を食害する被害が散見される。
そのため、ジフルベンズロン水和剤を使用し、育苗期の幼虫防除法を検討した。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
クロバネキノコバエ類のりんどう苗での発生様相
ア |
育苗中の培土では、かん水開始後20日間以上経過すると、クロバネキノコバエ類をはじめとする各種双翅目昆虫が発生する(図1)。 |
イ |
クロバネキノコバエ類の幼虫は、苗の葉が地際に接した部分から食害する。また、現在のところ、他の双翅目昆虫の幼虫による苗の食害は確認されていない。 |
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2. |
防除方法
ア |
幼虫の発生状況調査は育苗開始20日目頃から行う。ただし、幼虫は半透明で小さく肉眼で確認しにくいため、幼虫が吐糸するクモの巣状の糸の有無により判断する。 |
イ |
発生確認後は、1トレイ当たり100ml程度(200穴セルトレイの場合)のジフルベンズロン水和剤2,000倍液を、むらなく培土に十分しみ込むように散布する。 |
ウ |
ジフルベンズロン水和剤の密度抑制効果は約1ヶ月間認められる(表1)ので、育苗終了時まで2回以内の散布で防除が可能である(図2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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(1) |
育苗中のりんどう苗で確認されたクロバネキノコバエ類の主要種は、チビクロバネキノコバエであったが、その他の種も混在した。これらは、オス成虫の把握器を比較して同定されるが、幼虫やメス成虫による同定は困難である。 |
(2) |
上記防除開始時期は、市販の乾燥培土を用いて育苗開始する場合を想定している。水浸後日数の経過した培土を用いる場合には、既に産卵されている場合も想定されるので、防除開始時期を早める必要がある。 |
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