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農薬廃液処理装置による水稲種子消毒剤の除去性能と導入条件

[要約]
水稲種子消毒剤の廃液を農薬廃液処理装置で処理した場合、農薬成分濃度を0.1ppm未満まで低減できる。また、農薬廃液処理装置を導入する育苗規模は、約3000箱(苗箱数)以上である。
[キーワード]
  農薬廃液処理装置、水稲種子消毒剤、廃液処理
[担当]岩手農研セ・生産環境部・環境保全研究室
[連絡先]電話0197-68-4422、電子メールm-hiraka@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
育苗センター等においては一度に大量の水稲種子消毒剤の廃液が生じることから、専用の処理装置による処理が望ましいとされている。しかし、農薬廃液処理装置の性能や処理水の取り扱いについては具体的なデータが少ない。
そこで、専用の農薬廃液処理装置の農薬除去性能と処理水中残存農薬成分の土壌中の消長と併せて育苗センター等が導入する際の条件について提示する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 処理方法と除去性能
(1) 専用の処理装置(光酸化方式、活性炭吸着方式)で水稲種子消毒剤の廃液を処理した場合、廃液中の農薬濃度を0.1mg/L未満まで低減できる。(表1)
(2) 処理後の水を土壌浸透(目安:1tあたり10m2以上の面積)させると、土壌浸透させた直後でも分析上の検出限界(0.05ppmとした場合)未満となり、更に農薬成分の濃度は約1ヶ月毎に半分に減少しつづけるので残留の恐れはない。(図1表2)
2. 導入条件
(1) 本装置の減価償却費を含めた廃液処理費用は、年間100万円程度である。
(2) 本装置の導入条件は、産廃業者に処理を依頼する場合の費用と比較した場合、育苗規模が約3000箱(発生廃液量約0.48トン)以上である。(図2)
[成果の活用面・留意点]
 
1. 廃液処理装置から出る残渣(廃液量の0.5%程度)は、産廃業者等に依頼して処分する。
2. 処理水の処理は各県の指導に従う。
[具体的データ]
 
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[その他]
研究課題名: 種子消毒廃液処理対策技術の確立
予算区分: 国・県
研究期間: 1998〜2002年度
研究担当者: 築地邦晃、平賀昌晃