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露地きゅうり栽培におけるべと病及びうどんこ病に対する酸性電解水の防除効果

[要約]
酸性電解水は、うどんこ病の発病初期には慣行防除に劣るものの発病抑制効果がある。しかし、アルカリ性電解水との近接併用散布は効果が認められない。また、べと病に対しては防除効果が認められない。
[キーワード]
  酸性電解水、露地きゅうり栽培、うどんこ病
[担当]岩手農研セ・生産環境部・環境保全研究室
[連絡先]電話0197-68-4422、電子メールm-hiraka@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・生産環境(病害)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
酸性電解水は農薬の代替資材として近年、農業利用が期待されている。しかし、各種作物における病害の防除効果に関するデータが少なく、生産現場では試行錯誤的に行われている状況にある。
そこで、酸性電解水の減農薬栽培体系への活用を検討するため、露地きゅうり栽培におけるべと病及びうどんこ病に対する効果について取りまとめ提示する。
[成果の内容・特徴]
 
1. うどんこ病に対する防除効果
(1) 初発前または発病初期から酸性電解水を週1回散布すると、発病初期には慣行防除に劣るものの発病抑制効果がある。なお、散布間隔を短くすると発病抑制効果は高まる傾向にある(図12)。
(2) アルカリ性電解水近接併用散布(酸性電解水散布の十数分前にアルカリ性電解水散布)の発病抑制効果の向上は期待できない。(図2)
2. べと病に対する防除効果
週1回散布や3〜4日毎の散布でも、防除効果は認められない。(図3)
3. その他
酸性電解水を苗に散布すると3日目から葉焼け様の生理障害が確認される。本圃においても同様の生理障害が発生した例がある。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 電解水製造装置は数社で販売されているが、使用した電解水はA社製の装置で製造したものである(pHは2.5〜2.6,有効塩素濃度は30〜70ppm)。
2. 酸性電解水の殺菌効果は次亜塩素酸であるという説が有力視されている。
3. 農家が防除体系に組み込むためには、(1)有効塩素濃度の変化と防除効果(2)他病害への防除効果(3)酸性電解水による散布器具への影響(4)農薬との混合の可否(5)酸性電解水防除体系における他の農薬の防除効果への影響等について更に検討を要する。
4. 農薬登録されていないこと、及び改正農薬取締法上の取り扱いについて未定であることから、現時点では一般使用は出来ない。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 機能水による野菜の病害に対する抑制効果の実証
予算区分: 国庫委託(協力:東北農研・野菜花き部・野菜花き栽培研)
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 平賀昌晃、沼田芳宏