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アカヒゲホソミドリカスミカメの水田内発生パターンに基づく防除時期の設定

[要約]
アカヒゲホソミドリカスミカメの水田内発生パターンは、出穂期14日後頃までは侵入成虫が、出穂期20日後頃からは次世代幼虫が主体となる。次世代幼虫の加害により斑点米の大部分を占める側部斑点粒が発生する。斑点米被害を回避するための防除時期を出穂期10日後と24日後の2回に設定する。
[キーワード]
  アカヒゲホソミドリカスミカメ、水田内発生パターン、防除時期
[担当]秋田農試・生産環境部・虫害担当
[連絡先]018-881-3326、電子メールt-niiyama@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・生産環境(虫害)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
1999年以降、アカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米の多発生により玄米の品質低下が問題となっている。出穂期〜黄熟期に2〜3回の薬剤散布を行っている場合でも、被害を受けることがあるため対策に苦慮している。その原因の一つとして、本種の発生生態や加害特性に不明な点が多く、明確な防除時期が設定されていないことがあげられる。
そこで、水田内における本種の発生パターンと斑点米の特徴を明らかにし、被害を回避できる防除時期を設定する。
[成果の内容・特徴]
 
1. アカヒゲホソミドリカスミカメの成虫は出穂期頃から水田内に侵入し、出穂期14日後頃まで発生が続く。その後、イネに産卵し、そこから発生した次世代幼虫は出穂期20日後から急増し、30日後頃に密度盛期となる(図1)。
2. 秋田県内で発生している斑点米は、次世代幼虫が主体となる登熟期間の後半に玄米側部への加害により形成される側部斑点粒が大部分を占める(図2)。
3. 次世代幼虫の発生密度を抑えるために、現在使用されている薬剤を使用した1回散布では十分な斑点米抑制効果が得られない(図3)。そのため、幼虫の発生源となる侵入成虫とその後発生する次世代幼虫を防除対象とした2回散布が必要である。
4. 2回散布で斑点米抑制効果が最も高いのは出穂期10日後と24日後〜30日後に行った場合である(図4)が、薬剤の使用できる時期(収穫前日数)を考慮すると、防除時期を出穂期10日後と24日後に設定する。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 薬剤は有機リン剤(カーバメート剤との混合剤を含む)、合成ピレスロイド剤を使用する場合を想定している。
2. 水稲品種は「あきたこまち」を想定している。
3. 2回目の散布は使用する薬剤の収穫前日数に注意する。
4. 防除時期の起点となる「出穂期」は観察で全茎数の40〜50%出穂した日とする。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 水稲栽培における環境保全型病害虫防除技術の開発
予算区分: 県単
研究期間: 1999〜2002年度
研究担当者: 新山徳光、飯富暁康(協力:秋田県病害虫防除所)
発表論文等: なし