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汚泥肥料長期連用水田における重金属の土壌蓄積

[要約]
汚泥肥料を連用した場合、亜鉛等の重金属が土壌中に蓄積する。また、連用圃場の茎葉中の重金属濃度は、施用量が多いほど高くなる。汚泥肥料を1 2t/10a連用した場合、投入された亜鉛の87%が作土層に蓄積する。
[キーワード]
  汚泥肥料、重金属、土壌蓄積、亜鉛、水田
[担当]山形農試・生産環境研究部
[連絡先]電話023-647-3500、電子メールmorioka@aff.pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
産業廃棄物である下水処理汚泥を堆肥として利用することは、地域資源循環の観点から重要なことである。しかし、下水処理汚泥を原料とした堆肥を農耕地に施用した場合、土壌理化学性(主に重金属蓄積など)に対する影響が懸念される。そこで、汚泥肥料を連用した圃場で水稲栽培を行い、生育、収量、土壌理化学性について継続調査を行い、汚泥肥料の適正な使用方法を策定する際の資とする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 汚泥肥料を連用した場合、亜鉛、銅、カドミウム等の重金属が作土層(15cm)にに蓄積する。特に、亜鉛の蓄積程度が高い(表2)。また、下層土への移行は少ない。
2. 連用圃場で栽培した成熟期の稲体中の重金属濃度は、施用量が多いほど高く、特に、茎葉中の濃度が高くなる(表3)。
3. 汚泥肥料を1 2t/10a連用して稲わらを排出した場合、投入された亜鉛の87%が作土層に蓄積する(図1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 汚泥肥料の連用圃場では、肥料の種類により土壌への重金属の蓄積程度が異なるため、土壌分析を行って蓄積程度を把握する。
2. 汚泥肥料は窒素含量が高いため、連用圃場では窒素の施肥量を減らす。
3. 本試験は細粒灰色低地土で行い、稲わらは全量持ち出しをしているので、すき込みをする場合はこれらを考慮する。なお、作物体の亜鉛の吸収量から、投入された亜鉛のおよそ12%が持ち出されていると推測された。
4. 汚泥肥料の土壌への重金属の蓄積程度ついてデータベース化が必要である。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 化学肥料・たい肥等適正使用指針策定調査
予算区分: 土壌保全
研究期間: 1998〜2004年度
研究担当者: 森岡幹夫、中川文彦、熊谷勝巳