| [背景・ねらい] |
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産業廃棄物である下水処理汚泥を堆肥として利用することは、地域資源循環の観点から重要なことである。しかし、下水処理汚泥を原料とした堆肥を農耕地に施用した場合、土壌理化学性(主に重金属蓄積など)に対する影響が懸念される。そこで、汚泥肥料を連用した圃場で水稲栽培を行い、生育、収量、土壌理化学性について継続調査を行い、汚泥肥料の適正な使用方法を策定する際の資とする。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
汚泥肥料を連用した場合、亜鉛、銅、カドミウム等の重金属が作土層(15cm)にに蓄積する。特に、亜鉛の蓄積程度が高い(表2)。また、下層土への移行は少ない。 |
| 2. |
連用圃場で栽培した成熟期の稲体中の重金属濃度は、施用量が多いほど高く、特に、茎葉中の濃度が高くなる(表3)。 |
| 3. |
汚泥肥料を1 2t/10a連用して稲わらを排出した場合、投入された亜鉛の87%が作土層に蓄積する(図1)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
汚泥肥料の連用圃場では、肥料の種類により土壌への重金属の蓄積程度が異なるため、土壌分析を行って蓄積程度を把握する。 |
| 2. |
汚泥肥料は窒素含量が高いため、連用圃場では窒素の施肥量を減らす。 |
| 3. |
本試験は細粒灰色低地土で行い、稲わらは全量持ち出しをしているので、すき込みをする場合はこれらを考慮する。なお、作物体の亜鉛の吸収量から、投入された亜鉛のおよそ12%が持ち出されていると推測された。 |
| 4. |
汚泥肥料の土壌への重金属の蓄積程度ついてデータベース化が必要である。 |
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