| [背景・ねらい] |
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オオトゲシラホシカメムシは山形県における斑点米カメムシ類の主要種の一つであるが、ほとんど飛翔はみられず走光性も低い。そのため、本種はかき分けやすくい取り調査によってその発生状況を予測しているが、実際は労力の割に捕獲効率が低く、正確に把握することは困難である。そこで本種の誘引現象を解明し、防除や発生予察手法への可能性を検討する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
オオトゲシラホシカメムシは雄成虫に起因する誘引現象がある(図1)。 |
| 2. |
雄成虫によって誘引される個体は、雌雄成虫と2齢以降の幼虫である(表1)。 |
| 3. |
2002年は5月中〜6月中旬、7月中〜8月上旬、8月下旬以降に成虫の誘引数のピークがみられるが、県予察ほのすくい取り調査でも同時期にそれぞれ越冬世代、第1世代のピークがみられる。
これらのことから誘引現象は野外における本種の発生世代を反映しており、誘引数のピークはそれぞれ越冬世代、第1世代、第2世代と推測される(図2、図3) |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
山形県では、オオトゲシラホシカメムシは成虫越冬し年間2世代を経過する。年次によって変動はあるが、第1世代は7月中〜下旬頃、第2世代は9月以降に出現する(S52山形農試 病害虫試験成績) |
| 2. |
室内(16L:8D、25℃)で飼育した非休眠成虫で、羽化後10日以上を経過し性的に成熟した個体を用いる。 |
| 3. |
オオトゲシラホシカメムシ雄成虫が集合フェロモンを放出している可能性が高い。 |
| 4. |
年間を通しての総誘引数は多く、誘引現象の利用により発生消長の把握への応用も可能である。 |
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