| [背景・ねらい] |
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Ralstonia solanacearumにより生じる立枯病は土壌伝染性の難防除病害であり、タバコ栽培に大きな被害をもたらす病害としてその発生面積の増加が問題となっている。従来、土壌中からの立枯病菌の検出・定量には選択培地を用いてきたが103cfu/g乾土未満の汚染土壌から立枯病菌を安定的に検出することは困難であった。しかし、本病の効果的な防除のためには土壌中の菌密度を把握することが重要である。そこで液体選択培地で土壌中の立枯病菌を増殖させた後、特異的プライマーを用いたPCRを行うことにより101 cfu/g乾土レベルの汚染圃場から本菌を高感度に検出する方法を確立する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
Ralstonia solanacearumの病原性関連性遺伝子hpx2の配列からプライマーセットhpx2-A&-B、hpx2-C&-Dを作製した(図1)。hpx2-A&-Bとhpx2-C&-Dを用いたPCRにより立枯病菌(レース1、生理型3、4)ではそれぞれ988bpと145bpの産物が認められる。 |
| 2. |
汚染土壌10g(101cfu/g乾土レベル)を改変SMSA液体選択培地100mlに加え10分間振とうした懸濁液10mlを試験管に移し28℃で12〜24時間浸とう培養する(図2)。培養液90μlに10μlの0.5N NaOHを加え5分間煮沸したものをPCR試料とする。
hpx2-A&-Bとhpx2-C&-Dを用いたnested PCRでは12時間以上の培養液で立枯病菌に特異的な145bpの産物が確認される(図3)。 |
| 3. |
既存の選択培地で検出できない土壌中の立枯病菌も液体選択培地とPCRを組み合わせることによって検出可能である(表1) |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
立枯病菌の低レベル汚染土壌中からの検出や発生生態の解析に利用できる。 |
| 2. |
腐植酸等のPCR反応阻害物質を多く含む土壌ではこの方法が利用できない可能性がある。 |
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