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ロックウール脱臭装置排水のオーチャードグラスに対する液肥施用効果

[要約]
ロックウール脱臭装置運転で生じる排水(以下RW液肥と略記)の液肥利用を試みた。肥料成分としてアンモニア性窒素と硝酸性窒素からなる無機態窒素を含むRW液肥をオーチャードグラスに施用した結果、尿素肥料と比較してほぼ同等の収量を示し、RW液肥の窒素に関する肥効率は、尿素を100としたとき約90であったことから、RW液肥は窒素化学肥料の代替としての利用が可能である。
[キーワード]
  ロックウール脱臭装置、液肥、窒素肥効率、オーチャードグラス
[担当]岩手県農業研究センター・畜産研究所・飼料生産研究室
[連絡先]電話019-688-7317、電子メールnaoto@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ロックウール(以下RW)脱臭装置は脱臭性能が良好であるが、窒素を含む排水対策を要する。これまでこの対策として排水循環運転を検討し、成果として発表したが、その他の対策として排水中に無機態窒素が含まれていることから、RW脱臭装置中の排水を液肥として利用することを検討した。
[成果の内容・特徴]
 
1. RW液肥はRW脱臭装置で排水循環運転により得られ、主な肥料成分としてアンモニア性窒素と硝酸性窒素からなる無機態窒素を含む(表1)。
2. オーチャードグラス(キタミドリ)に窒素成分として尿素を施用した区とRW液肥を施用した区でほぼ同等の収量が得られる(表2)。
3. RW液肥は即効性の窒素肥料として利用でき、再生草の刈り取りから10日間内に施用したとき、尿素を100とすると窒素に関するRW液肥の肥効率は約90である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. RW脱臭装置は生物系特定産業技術研究推進機構らによって開発された装置である。
2. RW液肥をカリ、リンに富む家畜ふん堆肥と共用すると現行の施用基準で、作物の収量性を低下させずに化学肥料使用量の大きな節減が期待できる。また、RW液肥をポンプタンカー等で散布しても悪臭の発生がない。
3. 脱臭排液を液肥として利用する際には、原液の窒素濃度に留意し、牧草が濃度障害を受けない濃度に調整して利用すること。
4. 試験区は10m2/区(2.5m×4m)で設置、試験は乱塊法3反復で実施した。
(各区の施肥量は下記のとおり)。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: ロックウール脱臭装置の高機能化とドレインの環境保全的循環技術
予算区分: 国庫(委託)
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 佐藤直人、濱戸もえぎ