研究所トップ研究成果情報平成14年度

ウシ過剰排卵処理において正常胚数を増やす方法

[要約]
黄体ホルモン製剤(CIDR)とブタ卵胞刺激ホルモン(pFSH)を用いたウシ過剰排卵処理において、処理開始3日前に安息香酸エストラジオール(EB)を1mg投与すると、回収される正常胚数がEB無投与時に3個以下の牛群では平均2.1個増加する。
[キーワード]
  繁殖、牛、受精卵、過剰排卵処理
[担当]宮城畜試・酪農肉牛部・バイオテクノロジー研究チーム、青森畜試、秋田畜試、神奈川畜研、静岡畜試、奈良畜研、山口畜試、高知畜試、大分畜試、宮崎畜試、家畜改セ
[連絡先]電話0229-72-3101、電子メールbitech@anim-exp.pref.miyagi.jp
[区分]東北農業試験研究・畜産 [分類・参考]技術・普及

[背景・ねらい]
牛の過剰排卵処理開始時において、卵巣に大型の卵胞が存在すると、過剰排卵処理成績の悪いことが報告されている。そこで、過剰排卵処理前にEBを投与して卵巣から大型の卵胞を消去し、過剰排卵処理成績の改善を試みた。
[成果の内容・特徴]
  過剰排卵処理方法 51頭の供試牛を用い、発情周期に関係なくCIDRを挿入し(day0)、day10からpFSHを減量投与し、63日間隔の連続採卵を2回繰り返した(計4回、2と3回目の採卵間隔は夏期を避けるため63日以上不定)。1、4回目のday7にEB(ギナンドール、三共株式会社)を1mg投与して試験区、2、3回目は対照区とし、供試牛の半分はこれを反転して試験した。Day0、7,10,21に超音波診断装置により大型(直径10mm以上)、中型(直径6〜9mm)及び小型(直径5mm以下)の卵胞数を計測した(図1)。
1. EBを投与すると、過剰排卵処理開始時に大型の卵胞が平均0.8個から0.5個に減少する(表1)。
2. EBを投与すると、採卵時に黄体数が平均10.5個から12.4個に増加する(表2)。
3. EBを投与すると、回収される正常胚数がEB無投与時に3個以下の牛群では平均2.1個増加する(表3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. フィールドにおける牛の過剰排卵処理に利用できる。
2. 採卵成績が優良な牛においては効果は少ない。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 黄体ホルモン製剤(CIDR)を用いた過剰排卵処理における安息香酸エストラジオール(EB)投与効果の検討
予算区分: 国庫・県単
研究期間: 2001〜2003年度
研究担当者: 早坂駿哉、及川俊徳、菊地武、高田直和、石山治(青森畜試)、千田惣浩(秋田畜試)、田中嘉州(神奈川畜研)、三宅晃次(静岡畜試)、億正樹(奈良畜研)、田頭明子(山口畜試)、山崎慎一郎(高知畜試)、梅木英伸(大分畜試)、赤塚裕人(宮崎畜試)、的場理子(家畜改セ)