| 1. |
乾乳牛17頭を用い、分娩予定2週間前および4週間前より分娩まで陰イオン塩を添加した飼料を給与し、分娩時の状況、血液生化学的性状、乳量・乳成分を調査した。陰イオン塩は硫酸マグネシウムと塩化アンモニウムを用いDCADが、0,-10および-20meq/100gDM/日となるように調整してTMR方式で給与した。(各試験区2〜3頭で実施) |
| 2. |
主な供試飼料のNa,K,ClおよびSの乾物中平均含量は、とうもろこしサイレージでそれぞれ0.10%、1.02%、0.39%および0.22%、オーチャード主体1番草乾草でそれぞれ0.12%、1.03%、0.40%および0.26%であった。 |
| 3. |
血中GOTはいずれの区も正常値内にはあるが、4週区のほうが2週区に比べ、また-10および-20meq区のほうが、0meq区に比べ低値を推移する傾向にある(図1、図2)。
血中GGTは給与期間による差は無いが、DCADに関してはGOTと同様-10および-20meq区のほうが、0meq区に比べ低値を推移する傾向にある(図3)。 |
| 4. |
血中カルシウム(Ca)は分娩後、4週区のほうが2週区に比べ高い値で推移し(図4)、また-20meq区では安定した上昇傾向を示すのに対し、0および-10meq区においては推移が不安定である(図5)。血中無機リン(IP)は0および-10meq区で分娩1カ月後に大きく上昇し、上限値を上回る傾向にある(図6)。 |
| 5. |
全試験区において周産期病の発生は認められなかった。 |
| 6. |
DCAD調整飼料の給与期間・調整値を検討する上で、乳牛の健康体維持を第一に考慮し、血液性状値、特にCa値・肝機能値を最重要視したところ、給与期間分娩前4週間、DCAD-20meq/100gDM/日が適当であると示唆された。 |
| 7. |
陰イオン塩にかかる費用は4週間給与で1頭当たり1,000円程度であった。 |