[背景・ねらい] |
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秋田比内地鶏の需要は雌ひなに集中し、素ひな生産のふ化場では鑑別した雄ひなをほとんど淘汰していることから、素ひな価格が上昇し、ひいては鶏肉生産コストの高騰につながっている。
このため、雄ひなに高エネルギー飼料を給与して飼育日数を短縮しても、従来の飼育方法で飼育した比内地鶏と比べて大きく隔たっていないことを示し、雄ひなの早期出荷及び肉質の改善による雄ひなの有効活用に資する。 |
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
高蛋白質・高エネルギー飼料を給与すると雄ひなの飼育日数が短縮できる
日齢別の給与飼料の栄養水準は表1のとおりである。
試験区の発育が改善され、慣行区が124日で出荷体重2.5kgに達するのに比べ、高蛋白質・高エネルギー飼料を給与した区は約100日で2.5kgを超える(図1)。 |
2. |
試験区の雄のもも肉の成分は慣行区と参考区雌の成分値の中間の値となると体の正肉量は、日齢が経過するにつれてもも肉割合が増加する傾向にある。
一般成分の蛋白質含量は大きな変動はなかった。脂肪含量は、日齢の増加とともに多くなる傾向にあった。食味テストではパネラーの一致性が小さい。
従来の飼育方法で生産した125日齢の雄(A)と153日齢の雌(B)との比較では、Bに対してAの遊離アミノ酸、イノシン酸が少ない傾向にあるが、高蛋白質・高エネルギー飼料を給与して125日齢で解体した雄のもも肉では、おおよそAとBの中間の値を示す(図2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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現在の比内地鶏肉の需要が雌に偏っていることから、今後は低コスト化だけでなく、加工特性の解明による新商品の開発等により雄肉の販路の拡大をあわせて図っていく必要がある。
雄の飼育に当たっては、1m2当たりの飼育面積を雌と比べて大きく取り、充分な運動量を確保することに留意する必要がある。 |