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電気化学顕微鏡を用いた凍結受精卵の品質評価の検討

[要約]
電気化学顕微鏡を用いて凍結受精卵の融解直後の呼吸量を測定したところ、融解直後の呼吸量が高い集団は、その後の生存性が高いと思われる。
[キーワード]
  受精卵、凍結、受胎率、品質評価、呼吸量、電気化学顕微鏡
[担当]山形農研セ・畜産研究部・先進技術開発科
[連絡先]電話0233-23-8811、電子メールsaitoakiko@pref.yamagata.jp
[区分]東北農業・畜産
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
受精卵移植は、その受胎率の向上が問題となっているが、凍結した受精卵が融解後も凍結前の品質を維持しているかどうかは重要な課題と考えられる。そこで、電気化学顕微鏡を用いて凍結前及び融解後の呼吸量を調べ、凍結と融解後の生存性の関係を調べた。そして、呼吸量が凍結受精卵の品質評価の指標となり得るかどうかについて検討する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 体外受精で作出した媒精後8日目の拡張胚盤胞期胚の平均呼吸量は(2.87±0.81)×10-14mol s-1である。また、融解後の呼吸量は(2.64±0.62)×10-14mol s-1である(表1)。
2. 呼吸量を2.5×10-14mol s-1を境にして高い集団と低い集団に分けたところ、高い集団では、その後の生存率も高い傾向が見られる(表2)。
3. 融解直後の呼吸量を測定することで、受胎率の向上が期待される。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 融解直後の呼吸量を測定することで、移植に適した受精卵を選択することが可能である。
2. 本試験で用いた凍結手法はダイレクト法(1.5Mエチレングリコール)であり、他の手法では異なる可能性がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 初期胚の生命活動センシング
予算区分: 山形県地域結集型共同研究事業
研究期間: 1998〜2003
研究担当者: 齋藤朗子、珠玖仁(山形県企業振興公社)