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宮城県における炊飯白度の高い六条大麦新品種「シンジュボシ(東北皮34号)」の採用

[要約]
「東北皮34号」は硬質麦の発生が少なく、大粒で、搗精白度や炊飯白度も優れる。出穂期、成熟期は「ミノリムギ」と比較してやや早い“中生の早”で、収量性は「ミノリムギ」と同程度の多収であることから、宮城県の奨励品種として採用する。
[キーワード]
  六条大麦、奨励品種、東北皮34号、硝子率、硬質麦、炊飯白度
[担当]宮城古川農試・水田利用部
[連絡先]電話0229-26-5106、電子メールPaddyg@faes.pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
宮城県における六条大麦は、転作作物の基幹作目として作付けされており、なかでも「ミノリムギ」については比較的安定多収であることから、基幹品種として長く栽培されてきた。しかし、「ミノリムギ」は、近年気象変動の影響もあり硬質麦等が発生し品質の評価が変動するようになってきた。
そのため、硬質麦の発生が少なく、搗精白度、炊飯白度が高い「東北皮34号」を本県の奨励品種に採用することにより、本県産麦の品質評価の一層の向上を図る。
[成果の内容・特徴]
 
1. 「東北皮34号」は「ミノリムギ」より、成熟期がやや早い“中生の早”である(表1)。
2. 「ミノリムギ」と比較して、稈長は同程度の“長”である(表1)。
3. 千粒重は、「ミノリムギ」よりも大きい“大”である(表1)。
4. 収量性は、「ミノリムギ」と同程度の“多”である(表1)。
5. 外観品質は「ミノリムギ」と同程度の“中の上”である(表1)。
6. 硝子率は「ミノリムギ」より低く、硬質麦の発生が少ない(表1)。
7. 耐倒伏性は、「ミノリムギ」よりわずかに弱く、“やや強〜中”である(表1)。
8. 「ミノリムギ」と比較して、搗精白度、炊飯白度は高く、食味は良好である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 宮城県の西部丘陵、及び山間高冷地帯を除く県下一円を対象とする。普及見込み面積は300haである。
2. 「東北皮34号」を本県の奨励品種に採用することにより、本県産麦の高品質・安定栽培に資する。
3. 「ミノリムギ」と同程度の長稈で、やや倒伏しやすいことから、多肥栽培は避ける。
4. 硬質麦の発生を防ぐため、播種適期を厳守するとともに追肥は減数分裂期までとする。
5. 凍上害及び寒雪害の発生を防止するため、播種適期を厳守するとともに、排水対策の徹底と鎮圧作業を励行する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 麦類奨励品種決定調査
予算区分: 県単
研究期間: 1998〜2001年度
研究担当者: 植松克彦、神崎正明、星信幸、滝澤浩幸、齊藤正文、佐々木捷二、佐藤一良