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秋田県におけるだいず奨励品種候補「おおすず」の栽培特性

[要約]
「おおすず」はリュウホウと成熟期が同程度であり中生の早に属する。収量は同程度で百粒重は大きく、リュウホウに比べ主茎長が短く、耐倒伏性が強い。また、茎水分が抜けやすいため、成熟期後速やかに機械収穫が可能である。
[キーワード]
  だいず、中生の早、おおすず、茎水分
[担当]秋田農試・作物部・畑作物担当
[連絡先]電話018-881-3338、電子メールizumi-sato@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
秋田県の大豆作付け面積の8割はリュウホウであり、主に水田転換畑において栽培されている。リュウホウは成熟期後の茎水分の低下が緩慢であり、コンバイン収穫に適する茎水分50%以下になるまでには日数を要する。
そのため、成熟期後に速やかに茎水分が低下し、早期にコンバイン収穫が可能な品種を選定する。
[成果の内容・特徴]
 
1. おおすずは、リュウホウと比較すると開花期は1〜2日早く、成熟期は同程度で、中生の早に属する。晩播における収量・百粒重の低下が少なく、リュウホウ並に晩播適性が高い。また、標播・晩播とも莢数はやや少ないが、百粒重が大きく、収量は同程度である(表1)。
2. リュウホウと比較して、おおすずは主茎長が短く、晩播栽培においても倒伏はみられず、耐倒伏性は強い(表1)。
3. 現地調査における比内町・能代市・太田町での、おおすずの子実重はリュウホウ並に多く、百粒重はリュウホウよりも大きい(図1)。
4. おおすずはリュウホウより成熟期後の茎水分の低下が早く、成熟期から8日後頃には茎水分が50%以下となり、コンバイン収穫が可能となる(図2)。
5. おおすずは成熟期から22日後頃には、腐敗などの変質粒の割合が高くなり、品質の低下が著しい。したがって、刈り遅れによる品質の低下を防ぐため、成熟期後14日頃までには収穫する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 「おおすず」の作付け地域は県北を中心とする県内一円で、ライデン、スズユタカの代替品種とする。普及見込み面積は1000haである。
2. べと病に罹病しやすいので、多発が予想される場合には防除する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 主要農作物奨励品種決定調査
予算区分: 県単
研究期間: 2000〜2002年度
研究担当者: 佐藤泉、田口光雄、井上一博