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播種期の移動による大豆「タチユタカ」の豆腐加工適性の変動

[要約]
6月第1半旬〜第6半旬に播種を行えば、8月第1半旬〜第3半旬に開花し、品質や子実成分(粗脂肪含有率・全糖含有率)が変動するものの、豆腐の加工適性(豆乳抽出率・溶出液固形分率・破断強度)には差が認められなかった。
[キーワード]
  大豆、播種期、子実成分、豆腐加工適性
[担当]山形農試・水田営農研究部
[連絡先]TEL:023-647-3500、電子メールaisawana@pref.yamagata.jp(現在はaisawa@aff.pref.yamagata.jp)
[区分]東北農業・畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
本県の大豆作付面積が年々増加しており、1戸当たりもしくは1集団当たりの大豆播種面積も拡大傾向にある中、播種適期が梅雨に当たることもあり計画的な播種ができず播種期間が長くなっている。一方、加工業者からはロットが小さい、品質のバラツキが大きいとの指摘もある。大豆の加工適性をみた場合に、豆腐が固まらないことは特に問題となる。そこで、「タチユタカ」を使用し、播種期を変えた場合の子実成分・加工適性の変動について明らかにした。
[成果の内容・特徴]
 
1. 播種期が移動すると開花期が変動し、それ以降の登熟期間の気象が違ってくるため、品質・子実成分が変動すると考えられる。6月第1半旬〜第6半旬に播種すれば、8月第1半旬〜第3半旬に開花する。
2. 子実成分の変動
1) 豆腐の硬さや収率に影響している子実中粗蛋白質含有率は、8月上旬の開花期を最高にやや低下する傾向があった(図1)。
2) 豆腐のコクに関係すると考えられる子実中粗脂肪含有率は、開花期が早いと粗脂肪含有率が高く、遅く開花するに従い低くなる傾向にあった(図2)。
3) 子実中全糖含有率は、開花期が早いと低く、遅く開花するに従い高くなる傾向にあった(図2)。
3. 加工適性の変動
1) 吸水率及び豆乳抽出率は、開花期に対する影響は認められない。また、溶出液固形分率は早播及び極晩播で多くなる傾向にある(図3)。
2) 豆腐の破断強度は、年次間差があるが、年次毎に播種期の間で比較した場合、6月第1半旬〜第6半旬までの間では差は認められない(表1)。
3) 極端な早播や晩播は、生理障害が発生したり成熟に達しないため粗蛋白質含有率が高くなる傾向にあり、豆腐は固まるが収量・品質が低下する。特に成熟に達しない大豆でも豆腐は固まったが、brix糖度が低く食味は著しく劣った。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 品種によって反応が異なる可能性がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 大豆の需要用途別の品質・加工適性の解明と高品質栽培技術の開発
予算区分: 国庫(大豆21プロ)
研究期間: 平成2002年度(平成2001年〜2003年)
研究担当者: 相澤直樹、鈴木雅光