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えだまめの冷蔵及びMA包装による鮮度・良食味保持

[要約]
「あおもり豊丸」及び「あおもり福丸」の収穫後の莢の退色と莢水分、食味及び糖含量の低下の様相は品種間で異なり、前者で早いのに比較して、後者は緩やかである。これらの低下は冷蔵及びMA包装によって抑制される。冷蔵とMA包装の併用では抑制効果がさらに長期化し、前者で5〜9日間、後者では9日間、鮮度・良食味が保持できる。
[キーワード]
  えだまめ、「あおもり豊丸」、「あおもり福丸」、冷蔵、MA包装、鮮度、良食味
[担当]青森畑園試・作物改良部
[連絡先]電話0176-53-7171、電子メールeiko_niwata@ags.pref.aomori.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
えだまめ在来種「毛豆」から育成した早生2品種の有利販売を行うために、収穫後の鮮度・良食味の保持を図る必要がある。そこで、市場流通の主流である「もぎ莢」状態で冷蔵とMA(Modified atmosphere)包装の鮮度・良食味保持効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
 
1. 鮮度・食味変化 「あおもり豊丸」、「あおもり福丸」とも常温・ネット包装では貯蔵日数の経過とともに莢の退色(黄化)、食味と糖含量の低下が見られ、「あおもり豊丸」では早いのに比較して、「あおもり福丸」では緩やかである。莢水分の低下は「あおもり豊丸」で著しいが、「あおもり福丸」ではほとんど見られない(図1)。
2. 冷蔵及びMA包装処理による鮮度・良食味の保持日数
(1) 冷蔵処理
「あおもり豊丸」では莢色、莢水分の低下を2〜5日間、食味を5日間保持できる。「あおもり福丸」では莢色及び食味を5日間保持できる(図1)。
(2) MA包装処理
「あおもり豊丸」、「あおもり福丸」いずれにおいても莢色及び莢水分は9日間保持されるが、食味は5日後以降低下する。貯蔵5日後以降カビが発生することがあり、食味に影響する(図1)。
(3) 冷蔵とMA包装併用(MA包装をして冷蔵)処理
「あおもり豊丸」では莢色及び莢水分を9日間、食味を5〜9日間、「あおもり福丸」では莢色、莢水分及び食味のいずれも9日間保持できる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 収穫後の商品管理に活用できる。
2. 鮮度・良食味の基準は、莢色はL*a*b*表色系のうちクロマティクネス指数a*の値−10以下、莢水分は70%以上、食味は食味指数3(普通)以上、糖含量は「あおもり豊丸」で3%以上、「あおもり福丸」で4%以上であることとした。
3. MA包装とは、適度な嫌気性状態をつくるプラスチック資材を用いて、青果物の呼吸量を制限するものである。
4. MA資材はえだまめ用のものを用いる。
5. MA包装で室温に長期間放置するとカビが発生することがあるので注意する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 中山間地域における産地マーケティングに基づく特産的高付加価値農産物の生産技術
予算区分: 地域基幹(国補)
研究期間: 1999〜2002年度
研究担当者: 庭田英子、長谷川夏子、前嶋敦夫、石谷正博
発表文献等: なし