| [背景・ねらい] |
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点滴潅水施肥栽培は、本来過不足のない施肥により周辺環境への負荷が少なく、作物へのストレスを回避できる等の利点があり、安定生産につながる技術である。また、自動潅水施肥による利便性も高く、岩手県においても面積が拡大傾向にあるが、実用的な養水分管理方法については確立されていない部分も多い。そこで、施肥量低減につながる養水分管理方法について、栄養診断・土壌診断の指標作成と合わせながら検討する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
地床利用の点滴潅水施肥栽培において、施肥量を現場慣行の60%程度減肥しても商品果収量が安定して確保される(表1)。
この場合の1日あたりの施肥量は、定植〜活着期0mg/株、活着期〜第2花房開花期10mg/株、第2花房開花期〜収穫終了1ヶ月前40mg/株、それ以降は0mg/株であり、栽培期間(180日間)の合計施肥量は5.6g/株となる。
また、1日あたりの潅水量は定植〜活着期0L(手潅水)、活着期〜第2花房開花期0.5L、第2花房開花期〜収穫終了1ヶ月前1.0L、それ以降0.5Lであり、栽培期間(180日間)の合計潅水量は150〜200L/株となる。 |
| 2. |
本養水分管理による葉柄搾汁液中硝酸イオン濃度の栄養診断指標値は、栽培期間を通して1000〜4000ppmである(図1)。また、土壌ECの指標値は0.05〜0.15mS/cmである(図2)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
栽培期間内に葉柄搾汁液中硝酸イオン濃度及び土壌ECが指標外になる場合は施肥量の加減が必要である。 |
| 2. |
葉柄搾汁液中硝酸イオン濃度は、果実肥大中期(果実径4〜5cm)の花房直下、基部側の小葉柄の搾汁液を小型反射式光度計で測定している。採取時刻は、晴天時の日中の一定時間帯とする。 |
| 3. |
水分管理の目安となる土壌pF値(深さ20cm)は、第3花房開花期まで2.0〜2.2、それ以降は1.8〜2.0を目標とする。 |
| 4. |
対象品種は「桃太郎8」である。 |
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