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イチゴ養液栽培に適する培地資材

[要約]
イチゴ養液栽培において,やし殻繊維に黒ボク土を20%混合した培地を用いると,培養液かけ流し式,循環式の場合ともに果実収量が高くなる
[キーワード]
  イチゴ、養液栽培、培地、理化学性
[担当]宮城農園研・園芸栽培部・野菜チーム
[連絡先]022-383-8132、電子メールmarc-kk@pref.miyagi.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
やし殻繊維はイチゴの高設栽培の培地として普及しつつある。やし殻繊維に土壌を混合することにより,理化学性を改良し培養液循環式,かけ流し式ともに利用可能な培地を作成する。
[成果の内容・特徴]
 
1. イチゴ養液栽培において,やし殻繊維に黒ボク土を20%混合した培地を用いると,培養液かけ流し式,循環式ともに果実収量が高くなる(表1)。
2. 鹿沼土を混合することによって,気相率が高くなり,黒ボク土を混合することによって容積当たりの陽イオン交換容量が増加する(表1)。砂壌土と黒ボク土の混合によって透水性は低くなる傾向がある(図1)。
3. 培養液かけ流し式,循環式の場合ともに,透水性と気相率の低い培地では果実収量が低い。培養液循環式の場合にはかけ流し式の場合よりも果実収量が減少する傾向かみられるが,黒ボク土20%混合の培地では果実収量の減少程度が小さい(表1図1)。
4. 黒ボク土を20%混合した培地では,やし殻繊維単体と比べて透水性,気相率が若干低下する傾向があるものの,容積当たりのCECが比較的高く(表1),循環培養液のpHが6〜6.5付近で安定して推移したこと(図2),EC,肥料成分の変動が小さいこと(データ略)などが循環式の場合に果実収量の低下が少ない要因と考えられる。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 培地資材の検討や栽培システムを選定する場合の基礎資料とする。
2. 培地の透水速度は栽培槽の形状資材を覆う不織布の種類によっても異なる。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 高収益養液栽培システムの確立
予算区分: 県単
研究期間: 2000〜2001年度
研究担当者: 岩崎泰永、戸祭章
発表論文等: 岩崎泰永・上山啓一・戸祭章.2002.イチゴ養液栽培における培地の物理性と化学性が果実収量に及ぼす影響.園学雑71別2.p378.