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ウルイの効率的な根株養成法

[要約]
ウルイの根株養成で、従来春に行われていた定植時期を前年秋に行うことにより収量が増加する。また、定植時及び根株の掘り上げ時は可能な限り根を多く付けることで収量が向上する。
[キーワード]
  ウルイ、根株養成、定植時期、断根
[担当]山形県農業研究研修センター・中山間地農業研究部・園芸研究科
[連絡先]電話0233-22-2201
[区分]東北農業・野菜・花き(野菜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
ウルイ栽培では、春の定植時期や株掘り上げ時の作業は、作業競合や天候不順により、適期作業が困難な事例が多い。そこで、比較的天候に左右されない前年の定植時期と定植及び掘り上げ時の断根処理による生育、収量の関係について検討する。
[成果の内容・特徴]
 
1. 前年7月下旬から11月までの定植により、根株の充実が図られ、収量が増加する。秋定植(前年9月下旬)は従来までの春期定植(当年5月)より商品収量が30%以上向上する(第1表)。ただし、夏期の定植は、多回のかん水を要する等作業効率が劣るため、秋期が適する。定植作業は第2図のとおりである。
2. 定植時に根長を慣行の50%断根(根長比)すると、断根しない区と比較して養成した株の全重が30%、芽数が28%減少する。また、その株を用いた促成では、商品収量が40%、商品率が9%減少するため、定植時には可能な限り根を多く付けて定植を行う(第2表)。
3. 掘り上げ時(促成時)に根長を慣行の50%断根(根長比)すると、断根しない区と比較して収量が半減し、収穫の開始が遅れる。したがって、堀り上げ時には可能な限り根を多く付ける(第3表第1図)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 定植時期は腋芽が形成され、肉眼で確認される時期から可能で、山形県最上地域では前年の7月下旬から11月までである。ただし、系統により腋芽の発生時期に差が生じるので留意する。
2. 冬期間野そ被害に注意する。
3. 定植時の株の分割作業は、1芽分割法に準じて、多くの根が着くように作業する。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 「つくり育てる山菜」による未利用地の有効活用と省力栽培技術の開発
予算区分: 国庫
研究期間: 1999〜2001年度
研究担当者: 石山久悦、斉藤克哉、永峯淳一、阿部清