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メロン果実品質の追熟に伴う変化

[要約]
果肉を一定圧力で圧縮したときの果肉の厚さと、このとき果肉から流出した果汁重量を測ることにより、メロン果実の追熟に伴う果実中心部から果皮方向への軟化速度、および肉質の変化を捉えることができる。果実中心部から果皮方向への軟化速度、果肉汁液浸出度の追熟に伴う変化は品種により異なる。
[キーワード]
  メロン、追熟、肉質、軟化
[担当]秋田農試・野菜・花き部・園芸環境担当
[連絡先]電話018-881-3330、電子メールm-shinoda@agri-ex.pref.akita.jp
[区分]東北農業・野菜花き(野菜)、流通加工
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
メロンの品質では外観品質以外に、食味、特に甘味、食感(肉質、舌触り)が重要となっている。従来食感に関しては果肉硬度計による硬さの測定がされてきたが、軟化速度や多汁性などの肉質の変化を捉えることはできなかった。そこで果肉を一定圧力で圧縮したときの果肉厚と、このとき果肉から流出した果汁重量を測ることにより、果肉の質的な変化の測定を試みた。
[成果の内容・特徴]
 
1. 従来の果実硬度計を使用する方法では、肉質の変化を測定することはできなかった。果実から抜き取った果肉を物性測定装置(サンプルを一定時間、一定圧力で圧縮する装置)で圧縮し、このとき果肉から流出した果汁の重量を測定することにより、肉質の変化を捉えることができる(図13)。
2. また、果肉を圧縮したときの果肉厚を測定することにより、果実中心部から果皮方向への軟化程度、軟化速度を捉えることができる(図12)。
3. 追熟に伴う果実硬度の低下は、「秋田甘えんぼ」、「アールスナイト夏系2号」の両品種で大きな差はないが(図4)、追熟に伴う圧縮時の果肉厚の低下速度は、「秋田甘えんぼ」が「アールスナイト夏系2号」に比べ緩やかである(図2)。
4. 果肉汁液浸出度は両品種とも追熟に伴い高くなる。食べ頃となる収穫後7〜10日目頃には、両品種の果肉硬度はほとんど差がないが(図4)、「秋田甘えんぼ」は果肉汁液浸出度が「アールスナイト夏系2号」よりも過度に高くならないことから、過熟への進行が遅く可食期の肉質が「アールスナイト夏系2号」より長く維持されている(図3)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 様々な肉質のデータを蓄積することにより、肉質の数値化が可能となる。
2. 果肉汁液浸出度の算出には果汁重量を用いているため、糖度が大きく異なる品種を比較するときは果汁の水分含量で果肉汁液浸出度を補正する必要がある。
[具体的データ]
 
[その他]
研究課題名: 野菜の高品質・安定多収栽培技術の開発
予算区分: 県単
研究期間: 2002〜2004年度
研究担当者: 篠田光江、本庄求、田村晃