1. |
スズユタカと東北135号(リポキシゲナーゼ全欠失大豆)を加熱絞り法で調製した豆乳の成分値(表1)は、タンパク質と固形分含量及びその抽出率では殆ど差がなかった。しかし、脂質過酸化度(DETBA法)はスズユタカが17.4n mol/ml、東北135号が4.7n mol/mlで大きな差があった。これより、リポキシゲナーゼの不活性化は脂質過酸化度を5n mol/ml前後にすることを基準にできると考えた。 |
2. |
浸漬したスズユタカを60〜85℃で蒸気加熱した後、直ちに冷却し、加熱絞り法で調製した豆乳の脂質過酸化度及びタンパク質と固形分の抽出率を測定した。(図1)これより蒸気加熱処理によるリポキシゲナーゼ最適不活性化条件は75〜80℃、10分と考えられた。 |
3. |
浸漬したスズユタカを60〜85℃の温水で2分間ブランチングし、直ちに冷却後、加熱絞り法で調製した豆乳の脂質過酸化度及びタンパク質と固形分の抽出率を測定した。(表2)
これよりブランチング時間を2分とすれば不活性化の最適条件は70〜75℃と考えられた。 |
4. |
製造現場で、より適用しやすい方法として沸騰水中(100℃)でのブランチング法について検討した。浸漬したスズユタカを沸騰水中でブランチングして直ちに冷却後、加熱絞り法で調製した豆乳の脂質過酸化度及びタンパク質と固形分の抽出率を測定した。(図2)
沸騰水中で30秒ブランチング処理後に調製した豆乳はタンパク質や固形分の抽出効率を損なわず、ほぼ完全に不活性化されていることがわかった。 |
5. |
東北126号を沸騰水で30秒間ブランチング処理後に調製した豆乳の脂質過酸化度は5.7n mol/mlで未処理豆乳(18.7n mol/ml)の1/3以下だった。この豆乳を使用して4種類のデザートを試作し、市販品と比較した。試作品の脂質過酸化度は市販品と同程度であったが、イソフラボンは市販品の2倍以上含まれていた。(表3) |
6. |
試作したデザートの豆乳臭について官能評価した結果、ブランチング処理豆乳を使用したカスタードプリン,ババロア,杏仁豆腐は無処理豆乳を使用したものに比べ5%危険率で青臭みが有意に軽減されていることが明らかとなった。 |