研究所トップ研究成果情報平成14年度

アミロース含量が低いひえ系統のデンプン糊化特性

[要約]
岩手県内の栽培ひえにアミロース含量の低い系統がある。この系統のデンプンは、ラピッド・ビスコ・アナライザー分析では他系統と比べてブレークダウンが大きく、コンシステンシーが小さい等糊化特性が異なるため、食味の改善や新たな加工品開発素材として有望である。
[キーワード]
  ひえ、低アミロース、デンプン糊化特性
[担当]岩手農研・県北農業研究所・やませ利用研究室
[連絡先]電話0195-47-1074、電子メールsat-hase@pref.iwate.jp
[区分]東北農業・流通加工
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
近年、食への関心が高まり健康食材として「雑穀」が見直されている。
岩手県では、栽培特性や収量性に加え従来考慮されなかった外観や食味・内部成分等にも着目して雑穀を選抜することとしている。
新たな雑穀需要を創出するため、特徴ある特性を有するひえ系統を選定する。
[成果の内容・特徴]
 
1. アミロース含量
岩手県岩泉町安家地区で栽培されるひえ系統(現地で「もじゃっぺ」と呼称される)は、ヨード・ヨードカリ溶液の呈色が、岩手県内の主要系統(「達磨」及び「軽米在来(白)」)では青色を示すのに対して赤紫色を呈する(図1)。
また、アミロース含量は12.0%程度であり、「達磨」及び「軽米在来(白)」に比べて低い(図2)。
2. デンプン糊化特性
アミロース含量が低い系統のデンプン糊化特性は以下のとおりである(図3)。
「達磨」及び「軽米在来(白)」と比較して、ラピッド・ビスコ・アナライザー測定での糊化開始温度及び最低粘度はほぼ同等である。最高粘度が高く、ブレークダウンは大きい。最終粘度及びコンシステンシーは小さい。
また、冷めても固くなりにくい特性を有する(図4)。
[成果の活用面・留意点]
 
1. 食味の改善や新たな加工品開発の素材として有望である。
[具体的データ]
 
[その他]
予算区分: 県単・交付金
研究期間: 2002〜2004年度
研究担当者: 長谷川 聡、勝田 真澄(作物研)
発表論文等: 日本育種学会第103回講演会(発表予定)