子宮頚管通過が容易なステンレス製胚移植器の開発 |
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[要約] |
受胚牛の子宮頚管通過操作を容易にし、器具の反復利用を簡便、低コストで使用可能、ストローの着脱容易なステンレス製胚移植器を開発したことにより移植操作時間の短縮と受胎率の向上が期待できる。
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[キーワード] |
簡易牛胚移植器、移植時間短縮、低コスト化
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[背景・ねらい] |
胚移植技術において、胚、受胚牛、技術者の各要因に関して、これまでさまざまな検討がなされているが、受胎率の大きな改善はなく、受胎率向上は最重要課題である。
従来の移植器では、頚管通過操作を容易に行えない場面に遭遇することがある。そこで前操作として子宮頚管の拡張を行った後に移植器を通過させる2度の操作で移植を実施しており、移植に時間を要することや子宮内の損傷が受胎率低下の一因となっている。また、従来の移植器は、外套鞘の再利用が出来ないためコストがかかる。
このような点を考慮して、移植技術者間のばらつきを軽減し、反復して利用できる移植器を試作する。
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[成果の内容・特徴] |
- 移植操作と反復利用が容易なステンレス製移植器で、胚を封入したストローを充填する嘴管部と拡張部、移植器外管・押し出し部の3パーツ(写真1、2)からなり、全長52cm、最大幅5mm、重量39gである。また、嘴管部先端が鋭角的な構造であり、子宮頚管雛壁に遮られる生殖軌道を確実に捉えると考えられる。
- 拡張部をネジ式の脱着構造としたため、胚を封入したストローの着脱が容易で、材質がステンレスのため高圧蒸気滅菌による滅菌操作が可能である。その特徴から、本器は移植器本体の外套鞘を必要としないためコストを大きく低減できる。
- 本器による移植時間は全頭が5分以内に終了し、短時間内での移植を必要とする凍結保存胚のダイレクト移植による受胎率が73.6%と良好な成績であり、受胎率の向上が見込まれる(表1、2)。また、移植時の出血もみられなかった。従来型の移植器はカスー社の未経産用移植器、FHK社の0.25ml未経産牛用受精卵注入器を使用した。
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[成果の活用面・留意点] |
- 移植器は動物用医療器具としての許認可を受けていないため現在申請中である。
- ダイレクト移植に使用した胚は1.8MEG+0.1Msuc+04%BSAの凍結溶液で処理した。また、供試胚はBランク以上のものを用いた。
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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公共牧場における定時人工授精技術および簡易胚移植技術の確立 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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福成和博、吉川恵郷、児玉英樹、佐藤洋一 |
発表論文等 |
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特許出願、「家畜用胚移植器」、特願 2004-377428 |
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