研究所トップ研究成果情報平成16年度

改良ハンドラを取り入れた細断型ロールベーラ体系の作業能率の向上

[要約]

密封前後の細断型ロールベールのハンドリングに対応したハンドラ(以下「改良ハンドラ」)を使用することで、細断型ロールベーラ体系におけるトウモロコシサイレージの密封作業能率が向上し、また既存の牧草用ラッパの使用が可能となる。

[キーワード]

細断型ロールベーラ、改良ハンドラ、牧草用ラッパ、作業能率

[担当] 岩手農研セ・畜産研究所・飼料生産研究室
[連絡先] 電話019-688-7317、電子メールmasuda@ipah-exp.pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・畜産草地
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 細断型ロールベーラを用いた飼料用トウモロコシ収穫体系において、専用ラッパはフィルムの破損を防ぐため密封の都度ベールをトウモロコシ残茎のない圃場脇まで搬出する必要があることから移動時間を要し、大面積の収穫では作業がベーラに追いつかず密封遅延によるサイレージの品質低下を招く恐れがある。また、密封前のロールベールのハンドリングは、変形及び崩れを防ぐためにベール両底面の保持により行う必要があり、通常のハンドラでは作業が困難である。このため、密封前のロールベールの変形及びロスの発生を抑え、かつ密封後にフィルムを破損することなくハンドリングが行える改良ハンドラ(1号機:写真1図1)を開発し、牧草用ラッパと組み合わせた作業について、作業精度及び作業能率の検討を行った。
[成果の内容・特徴]
  1. 改良ハンドラは、汎用牧草用ハンドラ(丸久製作所製:BG150)に装着して使用する。ベールに対して水平方向にゴムチューブで保護した4列の山形鋼を有し、これでベールを保持する。資材費(1組)は17,358円と安価で、溶接等により自作が可能である(図1表1)。
  2. 作業精度
    1. 牧草用ラッパへの密封前ベール積載作業では、ベール持ち上げ時及び積み込み時に発生するロスの合計が0.31%と僅かである(表2)。
    2. 改良ハンドラで密封前ベールを持ち上げて100m走行した場合では、ロスの発生は高速走行時でも0.03%と極僅かで、ハンドラ接触部のベールの窪みは3cm程度である(表3)。
  3. 作業能率及び延べ労働時間
    1. 改良ハンドラを使用した組作業体系では、細断型ロールベーラ及び改良ハンドラ、牧草用ラッパの作業能率がほぼ同等で、梱包作業と密封作業の同時進行が可能である(図2)。また、改良ハンドラによるフィルムの破損等は認められない。
    2. 改良ハンドラを使用した組作業(3名)では作業人数が1名増加することから、専用ラッパを使用した場合の体系(2名)に比較して延べ労働時間が増加するが、従来体系(タワーサイロ、ワゴン2台運搬(片道2,000m)、全作業員数6名)の半分以下である(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. ラッパはフィルム破損を防ぐため、圃場脇での定置作業とし、ハンドラが圃場〜ラッパ間のベール往復運搬・積載及び密封後のベールをラッパ作業の障害とならない位置まで移動する作業体系とする。
  2. 牧草用ラッパは85cmの径のベールに対応できるベルト式のものを使用すること。
  3. 改良ハンドラのベール保持部分(山形鋼)に廃ゴムチューブを約5cm幅で帯状に切ったものを巻きつけること。
  4. 本体系は専用ラッパで密封遅延が生ずる規模(約1ha/日以上)の収穫を行う場合を想定している。
[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 長大型飼料作物ラップサイレージの調製・品質保持技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2003〜2005年度
研究担当者 増田隆晴、平久保友美、川畑茂樹