ホールクロップサイレージ用イネ栽培における地耐力確保法と収穫技術 |
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[要約] |
ホールクロップサイレージ(以下WCS)用イネ収穫作業では6月下旬から中干しを開始し、出穂揃い頃落水することで、良質なサイレージ調製が可能な地耐力が確保される。イネWCS用専用収穫機械は牧草用収穫機械に比べ収穫ロスが少なく、能率が高い。
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[キーワード] |
イネホールクロップサイレージ、収穫作業能率、地耐力
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[担当] |
岩手農研セ・農産部・水田作研究室、生産工学研究室、畜産研究所・飼料生産研究室 |
[連絡先] |
電話0197-68-4412、電子メールCE0008@pref.iwate.jp |
[区分] |
東北農業・畜産、作業技術 |
[分類] |
技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
WCS用イネの収穫においては、収穫作業を容易にするとともに、サイレージ品質への影響を考慮し泥混入をできるだけ少なくすることが重要である。そこで、地耐力確保を目的とした水管理を示すとともに、イネWCS用専用機械(飼料イネコンバインベーラ・自走式ベールラッパ体系、以下、専用機)および牧草用機械による収穫体系の作業性について検討した。
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[成果の内容・特徴] |
- 中干し開始は6月下旬とし、田面に亀裂が入るまで行い溝切りを実施する。中干し以降は間断灌漑とし、出穂揃い頃に落水する。特に進入路付近は機械の出入り、旋回のため地耐力の確保がより重要であるので滞水のない状態にする(表1)。
- 飼料イネコンバインベーラ(コンバイン型)・自走式ベールラッパ2台によるイネWCS専用機体系は、ほ場作業量が0.32ha/h、収穫ロスが2%程度、作業日数を10〜30日と想定した場合の作業可能面積は12.5〜37.4haである(図1,表2)。
- トラクタ4台による牧草用機械体系は、ほ場作業量が0.13ha/h、収穫ロスが20〜25%程度、作業日数を10〜30日と想定した場合の作業可能面積は6.4〜19.2haである(図1,表2)。
- 地耐力が確保された圃場においては、両体系ともロールに泥の混入がほとんどみられず良質なイネWCSが生産できる(表3)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 地耐力の確保を優先した水管理のため、生育後期まで入水した場合に比べ収量が劣る可能性がある。また、地耐力が不十分な場合は土の混入がない程度に刈高を設定する。
- 牧草用収穫機体系は、集草を行い中型ロールベーラを使用した場合で、予乾を想定したものではない。
- 損益分岐点面積は各機械の法定耐用年数を償却期間とし、慣行牧草収穫作業の岩手県内の平均的な受託料金に比較して算出した。
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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寒冷地北部における飼料イネ生産給与体系の確立 |
予算区分 |
: |
ブラニチ3系 |
研究期間 |
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2003〜2005年度 |
研究担当者 |
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小田中温美、平久保友美、大里達朗、高橋政夫、川畑茂樹 |
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