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生体内卵子吸引で採取成績および胚作出成績を向上させる方法

[要約]

生体内卵子吸引の実施前にEstradiol-benzoate 1mgを投与すると、平均採取総卵子数、平均体外受精供用可能卵子数および平均胚盤胞数が増加する。

[キーワード]

繁殖、牛、生体内卵子吸引、Estradiol-benzoate

[担当] 宮城畜試・酪農肉牛部・バイオテクノロジー研究チーム、東北農研・畜産草地部・育種繁殖研究室
[連絡先] 電話0229-72-3101、電子メールhayasaka-sh883@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・畜産
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 生体内卵子吸引(ovum pick up:OPU)による卵子採取は反復性に優れることから、ウシにおいて優良個体からの体外受精由来胚の生産を飛躍的に向上させうる技術である。しかし、1回あたりの採取で体外受精に供用可能な卵子数は未だ少ないことが問題として残されている。本試験では、OPUを活用した優良胚生産性の向上を目的として、ウシにおけるEstradiol-benzoate(EB)前処置がOPUでの卵子採取成績ならびにその後の胚発生成績に及ぼす影響について検討を行った。
[成果の内容・特徴]
  1. EBとしてオバホルモン:帝国臓器製薬(株)とギナンドール:三共エール(株)を用い、オバホルモンはOPU6日前に、ギナンドールOPU5日前に、各々EBとして1mgを筋肉内投与する。
  2. EB投与は、卵胞発育を一過性に抑制するものの、その後に卵胞の発育が再開することから、OPU時に発育期の卵胞群を吸引できる。(図1
  3. EB投与により平均採取総卵子数ならびに平均体外受精供用可能卵子数が増加傾向にある。(表1
  4. EB投与により胚盤胞発生率が向上する。(表2
[成果の活用面・留意点]
  1. OPUを活用した優良胚生産の向上が可能となる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 牛体外受精に関する研究
  卵胞機能制御が生体卵子採取成績およびその後の胚作出成績に及ぼす影響
  −特にestradiol-benzoateによる卵胞機能制御の効果について−
予算区分 県単
研究期間 2004年度
研究担当者 早坂駿哉、高田直和、竹之内直樹、平尾雄二、志水学、伊賀浩輔
東北農研・畜産草地部・育種繁殖研究室)