肥育牛における筋肉内脂肪の融点及び脂肪酸組成の遺伝的パラメータ |
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[要約] |
山形県内で肥育された黒毛和種肥育牛1696頭の筋肉内脂肪の融点及び脂肪酸組成を分析し遺伝的パラメータを推定したところ、融点及び脂肪酸組成の遺伝率は0.473〜0.615と比較的高いことから、脂肪の融点と脂肪酸組成の遺伝的改良は可能である。また、種雄牛の遺伝的能力も大きく異なる。
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[キーワード] |
肉用牛、筋肉内脂肪、遺伝的パラメータ
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[背景・ねらい] |
牛肉のおいしさには脂肪の質が重要である。脂肪の質には脂肪融点や脂肪酸組成などが影響し、不飽和度が高いと融点が低くなり、融点が低いとおいしいと考えられている。そこで、脂肪融点や脂肪酸組成の遺伝的要因を把握するため、平成10年〜14年度の枝肉共進会に出品された黒毛和種肥育牛1696頭を用いて、遺伝的パラメータ及び育種価を推定する。
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[成果の内容・特徴] |
- 筋肉内脂肪の融点及び脂肪酸組成の遺伝的パラメータを推定したところ、融点の遺伝率及びC18:2を除く脂肪酸組成の遺伝率は0.473〜0.615と比較的高い値であったことから(表1)、脂肪の融点及び脂肪酸組成は遺伝的改良が可能である。
- 種雄牛により脂肪融点及び脂肪酸組成の遺伝的能力(育種価)が大きく異なる(表2)。
- 種雄牛の系統においても、融点及び主要脂肪酸の不飽和度US/S((C16:1+C18:1)/(C16:0+C18:0))の遺伝的能力の有意な差がみられる(表3)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 種雄牛及び系統で、脂肪の融点及び脂肪酸組成の遺伝的能力は大きく異なるため、脂肪の質のよい牛肉を生産するための交配にあたり種雄牛の特徴を考慮する。
- 分析した産子の数が少ない種雄牛の育種価は今後変動する可能性がある。
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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食肉の食味評価と遺伝的改良 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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1998〜2003 |
研究担当者 |
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庄司則章、小林正人、阿部正博、井上慶一 (家畜改良センター) |
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