イネソフトグレインサイレージの高品質収穫調製技術 |
|
[要約] |
コンバインを用いて収穫した黄熟期の飼料イネのモミを、破砕処理後流通に便利な中袋付きのフレコンバックに密封し、糖蜜と乳酸菌を併用添加することで不良発酵及び好気的変敗を抑制した高品質サイレージを調製することができる。
|
[キーワード] |
フレコンバック、ソフトグレインサイレージ、濃厚飼料、破砕処理
|
[担当] |
福島県畜試・草地飼料部 |
[連絡先] |
電話024-593-1221、電子メールtikusi@pref.fukushima.jp |
[区分] |
東北農業・畜産 |
[分類] |
技術 ・普及 |
|
|
[背景・ねらい] |
飼料イネのほとんどはモミと茎葉全てを調製したホールクロップサイレージ(WCS)としての利用である。
「イネWCS」は自給粗飼料として利用されるが、モミだけをサイレージにしたイネソフトグレインサイレージ(「イネSGS」)は、高い栄養価から自給濃厚飼料として利用することができる。
既存のイネ収穫機械を利用し、流通を前提としたイネSGSの省力・低コストな収穫調製技術を確立する。
|
[成果の内容・特徴] |
- ソフトグレインの加水処理や破砕処理がpHの低下や乳酸発酵の促進等品質向上に効果的であり、乳酸菌の添加が更に効果を高める。(表1)
- 中袋付きフレコンバックでサイレージ調製すると、水分、pH、発酵状態とも既存の定置式サイロと同等の品質で調製が可能である。(表2)
- 加水して調製する場合は、吸水しきれない水分が下方に溜まり、取り出し後半の水分の多い所では酪酸の生成により品質が下がりV-SCOREが低下するが、糖蜜と乳酸菌の併用添加によって品質低下を抑制することができる。(図1、表3)
- 既存の自脱型コンバインで収穫したモミを軽トラックに積んだグレインコンテナにあけ、破砕処理後中袋を入れたフレコンバックに詰め込み糖蜜及び乳酸菌(畜草1号)を添加する。破砕処理には、家庭用の剪定枝粉砕機(ガーデンシュレッダー)を使用することでコストを抑えることができる。また、2連結で使用することで破砕効果を高めることができる。(写真1、図2)
- 家庭用庭木剪定枝粉砕機(ガーデンシュレッダー)を2連で利用することによって、70%程度の割合で破砕でき、麦圧片機に比較し破砕効率は約3培、機械の価格は約10分の1になる。(表4、5)
- 現地農場で調製したフレコンバックサイレージ(184kg)は、開封10日目の底部に近 い部分でもV2-SCOREが89.6あり品質に問題はない。(表6)
|
[成果の活用面・留意点] |
- 未破砕でもフレコンバックによりサイレージ調製は可能であるが、給与する際は破砕することを前提条件とする。
- 水分が高くなると破砕に要する時間及び労力が大きくなる。
- 開封後は、安全性を考慮し1週間程度で使い切る量の範囲内を単位に調製する。取り出しの都度袋の口を縛り、空気との接触を抑える。
|
[具体的データ] |









|
[その他] |
研究課題名 |
: |
イネソフトグレインサイレージの省力・低コストな収穫調製技術 |
予算区分 |
: |
国助成(地域基幹) |
研究期間 |
: |
2002〜2004年度 |
研究担当者 |
: |
矢内清恭、大槻健治、柳田和弘、佐藤茂次 |
発表論文等 |
: |
矢内ら、第54回東北畜産学会大会:24p |
|