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乳用牛へのイネソフトグレインサイレージの給与技術

[要約]

乾乳牛でのイネソフトグレインサイレージ(イネSGS)のTDNは74.3%と推定される。濃厚飼料給与量の25%(現物比)のイネSGSを給与した場合の乳量・乳成分はイネSGS無給与の場合と差はない。イネSGSの濃厚飼料中の代替割合として、現物25%程度、給与量として1日現物で4kg、乾物2.5kg程度の給与が可能である。

[キーワード]

飼料イネ、乳牛、濃厚飼料、イネソフトグレインサイレージ

[担当] 福島県畜試・酪農部
[連絡先] 電話024-593-1221、電子メールtikusi@pref.fukushima.jp
[区分] 東北農業・畜産
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 国内に供給されている濃厚飼料の約90%を海外からの輸入に依存しているのが現状である。イネSGSは栄養価が高いことから、自給濃厚飼料としての利用が考えられる。

 そこで、イネSGSを乳牛に給与し、採食性や乳生産性に及ぼす影響を見ることで濃厚飼料の代替え効果を検討し、自給率の向上と安全な飼料としての供給を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 乾乳牛の消化試験によるTDNは未破砕で乾物当たり50.6%、破砕で64.2%である。破砕イネSGSのTDNと破砕割合から、破砕率100%のイネSGSのTDNは74.3%と推定される。また、糞中へのイネSGS子実排泄率は、未破砕で27.6%、破砕で19.1%である(表1)。
  2. 搾乳牛に破砕率57.5%のイネSGSの濃厚飼料中割合(現物割合)を0%(対照区)、27.2%(20%区)あるいは45.2%(40%区)給与した場合、平均日乳量に差はない(図1)。乳成分は、乳脂率で20% 区が最も高く、40%区が最も低い(表3)。SCM、生産効率は、40%区が低く、TDN充足率が高い(表4)。
  3. 搾乳牛にイネSGSの代替割合として、現物比25%として給与した場合、乳量・乳成分及び飼料摂取量等はイネSGS無給与の場合と差はない。(図23)。
    イネSGSは嗜好性についても問題はなく、給与期間中の残飼はほとんどない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 濃厚飼料の代替えとして、イネSGSを給与する場合、割合として現物25%程度、給与量として1日当たり現物で4kg、乾物で2.5kg程度の給与が可能であると思われる。
  2. 破砕により消化率を高めることが重要。
  3. 給与前の十分な馴致は不可欠。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 乳用牛へのイネソフトグレインサイレージの合理的給与技術の確立
予算区分 地域基幹
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 中村弥、阿部正彦、小林寛
発表論文等 東北畜産学会第54回大会(2004)