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小麦の収穫時における子実水分と出芽率との関係

[要約]

小麦種子の収穫時の子実水分と出芽率の関係には品種間差がみられる。「ネバリゴシ」及び「ゆきちから」は、子実水分の減少に伴う出芽率の上昇が「キタカミコムギ」より低く推移し、子実水分35〜25%の間では「キタカミコムギ」より出芽率が低下しやすい。

[キーワード]

小麦、収穫、子実水分、出芽率、自脱型コンバイン

[担当] 青森農林総研・畑園試・作物改良部
[連絡先] 電話0176-53-7171、電子メールatsuo_maejima@ags.pref.aomori.jp
[区分] 東北農業・畑作物
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 「ネバリゴシ」は、平成13年に青森県で奨励品種となったが、生産された種子が出芽不良を起して、種子生産現場で混乱が生じ、その原因として高水分時の機械収穫が原因と思われた。一般に小麦の種子生産においては、収穫時の子実水分が発芽率に影響することが知られており、良質な種子生産を行う上では、品種毎に収穫適期の子実水分を明らかにする必要がある。そこで、青森県の奨励品種「ネバリゴシ」、「キタカミコムギ」及び有望品種「ゆきちから」を対象として、自脱型コンバインで収穫した場合における子実水分と種子の出芽率の関係を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 子実水分と出芽率の関係には高い負の相関があるが(表1)、品種間差がみられる(表23)。「ネバリゴシ」及び「ゆきちから」は、子実水分の減少に伴う出芽率の上昇が「キタカミコムギ」より低く推移し、子実水分35〜25%の間では「キタカミコムギ」より出芽率が低下しやすい(図1)。
  2. 自脱型コンバインを想定し、バインダーで収穫直後にハーベスターで脱穀(扱胴回転数500〜600rpm)した結果では、出芽率80%を確保するための子実水分は、「ネバリゴシ」と「ゆきちから」では子実水分20%程度、「キタカミコムギ」では25%程度である(図1表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は、自脱型コンバインを想定した結果であり、普通型コンバインで収穫する場合には適用できないと考えられる。
  2. 子実水分は、ハーベスターで脱穀直後にKett社製高周波穀類水分計PM-700で測定したものである。
  3. 供試サンプルは脱穀直後から静置型乾燥機(送風温度30℃)で子実水分12.5%になるまで乾燥した。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 新用途小麦・大豆品種の高品質多収栽培技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2004年度
研究担当者 前嶋敦夫、蝟利哉