小麦品種「ゆきちから」の岩手県における目標生育量と栽培法 |
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[要約] |
「ゆきちから」の秋播き栽培では収量420kg/10a、原粒タンパク含有率11.5%以上を目標とする。その際、播種量は密条播で6〜8kg/10a、基肥窒素量は4kg/10aとし、追肥は窒素成分で融雪期2kg/10a、穂揃期4kg/10aをそれぞれ施用する。
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[キーワード] |
秋播き、コムギ、栽培法、ゆきちから
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[担当] |
岩手農研セ・園芸畑作部・野菜畑作研究室、岩手農研・県北研・やませ利用研究室 |
[連絡先] |
電話 0197-68-4418、電子メール CE0008@pref.iwate.jp |
[区分] |
東北農業・畑作物 |
[分類] |
技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
平成15年に製パン適性を有し赤さび病に強い小麦品種「ゆきちから」が岩手県奨励品種に編入されたが、実需者からは製パンに向く品質の確保と安定的な供給が求められている。 「ゆきちから」の普及を図るには、収量安定確保と、製パンに適する子実原粒タンパク含有率11.5%以上を両立する栽培法が必要である。
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[成果の内容・特徴] |
- 播種量は密条播で6〜8kg/10aとし基肥窒素量は4kg/10aとする(図1)。厚播きや基肥の多施用で増収する場合もあるが、その効果は安定しない。
- 追肥は窒素成分で慣行の融雪期追肥2kgに加え、原粒タンパク含有率を高めるため穂揃期に4kg/10aを施用する(図2、3)。
- 倒伏を避けるため穂数450本/m2を上限とし、その際の期待収量は約420kg/10aである(図4)。
- 期待収量を確保するために必要な越冬後茎数は約1850本/m2であり、また越冬後茎数が1400本/m2未満の際には融雪期追肥窒素を4kg/10aに増やし収量の確保を図る(図5)。
- 原粒タンパク含有率11.5%を確保するという観点から、止葉抽出期の有効茎数が500本/m2以上であれば穂揃期追肥窒素は2kg/10aに減じて良い(図3)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 播種期は「ナンブコムギ」の秋播き栽培に準じる。
- 「ゆきちから」は穂発芽し易く、成熟後の品質低下が「ナンブコムギ」よりも早いため、収穫適期に達したならば速やかに収穫する。
- 本成果は岩手県北上市及び軽米町の普通畑(黒ボク土)における試験結果であり、生育診断は当面岩手県内において適用されるものとする。なお、気象条件、圃場条件に応じて播種量、施肥量等を調節すること。また、岩手県外の地域では適用性を確認した上で運用すること。
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[具体的データ] |





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[その他] |
研究課題名 |
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有望小麦系統の高品質・安定多収栽培技術の開発 |
予算区分 |
: |
ブラニチ1系 |
研究期間 |
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2003〜2005年度 |
研究担当者 |
: |
高橋大輔、長谷川聡、荻内謙吾 |
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