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大豆「リュウホウ」の連作畑における小粒化低減のための有機物施用効果

[要約]

「リュウホウ」の子実小粒化は豆腐破断強度を低下させるため、連作により小粒化した場合には、大麦すき込みや堆肥施用の有機物施用を行うことにより、粒大が増加し、豆腐加工適性が向上する。

[キーワード]

ダイズ、リュウホウ、豆腐破断強度、粒大、連作、有機物

[担当] 秋田農試・作物部・畑作物担当
[連絡先] 電話018-881-3330、電子メール k-inoue@agri-ex.pref.akita.jp
[区分] 東北農業・畑作物
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 大豆生産拡大の一方、実需者からは高品質且つ均質な大豆の生産が望まれているが、大豆は土壌条件、気象条件による品質変動が大きく、特に連作大豆では小粒化するため加工適性の低下が懸念される。そこで大豆の粒大と豆腐加工適性の関係及び連作における大豆の品質改善のための栽培管理技術として、有機物施用が品質に及ぼす効果について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. リュウホウの子実粗蛋白含量は連作条件で低い傾向にあるが、同一作付条件であっても粒大により異なり、粒大が小さいほど低くなる。また、豆腐破断強度は粒大が小さくなると明らかに低下し、中粒及び大粒では80g/cm2以上で加工適性にさほど問題はないが、連作・小粒では著しい低下がみられる。このため、加工適性向上には中粒以上の粒大を確保することが重要である(図1)。
  2. 小粒化による加工品質低下を防止するには、大麦すき込みや堆肥施用の効果が高く、長期連作畑においては中粒・大粒比率増加効果が期待できる(図2)。
  3. 粒大が増加することで、大麦すき込みや堆肥施用では無施用に比べ、子実重は増加し、子実粗蛋白含量、検査等級も高まる傾向にある(表1)。
  4. 大麦すき込み、堆肥施用は無施用に比べ、開花期及び最繁期の窒素固定依存率が高まることから、根粒着生の認められる連作圃場においては、根粒の能力を有効に利用するために有機物施用は有効である(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 連作畑のように地力低下による小粒化が顕著な畑での作付け時には有機物施用を行い、選別を徹底することで豆腐加工適性の高い大豆生産が期待できる。
  2. 試験方法及び有機物施用の方法
    1. 試験年次:2003年
    2. 土壌条件:現地大豆6連作目圃場、淡色多湿黒ボク土(越路原統)
    3. 耕種概要:播種期・6月6日、播種様式・畦幅75cm、株間15cm、1株2粒播き 基肥成分(kg/a)・N-0.25、P25−0.75、K2O−0.75  
    4. 試験区構成(有機物施用の方法):
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 サブソイリングによる排水性改善と窒素深層施肥による大豆安定多収化技術の開発
予算区分 ブラニチ2系
研究期間 2003〜2005年度
研究担当者 井上一博、佐藤健介、田口光雄、児玉徹