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リンゴ「ふじ」に対するキノキサリン系・MEP水和剤の摘葉効果

[要約]

キノキサリン系・MEP水和剤(商品名:「ジョンカラープロ」)は、「ふじ」に対して摘葉効果が高い。希釈倍数を500倍とし、散布量は400〜500リットルを目安とする。葉摘み時間は、着果枝果台部の落葉率が45〜75%で、無散布と比べて30〜40%ほど短縮される。

[キーワード]

リンゴ、ふじ、生育調節剤、摘葉、省力

[担当] 青森農林総研・りんご試験場・栽培部
[連絡先] 電話0172-52-2331、電子メールringoshi@ags.pref.aomori.jp
[区分] 東北農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 リンゴの葉摘み作業は管理作業全体の約3割を占め、省力化の要望が強い。キノキサリン系・MEP水和剤の「ふじ」に対する摘葉効果と利用方法を明らかにし、葉摘み作業を省力化する。
[成果の内容・特徴]
  1. キノキサリン系・MEP水和剤の収穫40〜50日前処理によって、散布4〜7日後頃から樹冠内部の着果枝果台部の葉が黄変し、7日後頃から落葉が始まり、散布10日後頃には効果の程度に目途がつく。黄変落葉は散布2週間後頃まで続く。果台部で落葉率が高く、新しょうでは落葉がほとんどみられない(図1表1)。
  2. 濃度500倍単用で摘葉効果が認められるが、効果が不十分な場合があり、展着剤ブラボー1000倍を加えると効果が高まり、安定化する。散布量は10a当たり400〜500リットルを目安とする(図1表1)。
  3. 葉摘み時間は、樹冠内部の着果枝果台部の落葉率が45〜75%の樹では、無散布樹と比べて30〜40%ほど短縮される(表3)。
  4. 摘葉剤を散布した9年生マルバ台樹とM.27台樹成木では、着果枝果台部の落葉率が51〜62%程度の場合、果実の着色、糖度に散布の影響がみられない。
[成果の活用面・留意点]
  1. 散布後、低温や降雨が続くと効果が不十分であり、極端な高温に遭遇すると過剰落葉となる。気象予報を活用し、できるだけ気象が温暖(17〜19℃)で晴れが予想される時に散布する。
  2. 枝が混んで日当たりの悪い園地や樹勢の弱い樹では、過剰落葉のおそれがあるので、利用に当たっては、散布量を減らしたり、散布時期を遅らせる。樹勢の強い樹や若木では効果が低い場合がある。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 食味本位リンゴの省力・低コスト・平易化栽培技術の開発
予算区分 地域基幹農業技術体系化促進研究
研究期間 2000〜2004年
研究担当者 町田郁夫、長内敬明、秋田奈津子、山谷秀明