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リンゴせん定枝の堆肥化方法

[要約]

リンゴのせん定枝を堆肥化する際、チップの粒度が細かいと腐熟が遅れるが、粒度にかかわらず、鶏ふん等の腐熟促進剤を加え3回程度切り返しを行うことにより、約半年で、腐熟化した堆肥を生産できる。

[キーワード]

リンゴせん定枝、堆肥化、チップ粒度、腐熟

[担当] 青森農林総研・りんご試験場・病虫肥料部
[連絡先] 電話0172-52-2331、ringoshi@ags.pref.aomori.jp
[区分] 東北農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 リンゴせん定枝は、太い枝は薪として燃料に利用される割合が比較的高いものの、細い枝は野焼きされる場合が多く、農家が自ら堆肥化し、園地に還元することが望ましい。しかし、せん定枝のような木質物は一般に腐熟し難いことから、早期に堆肥化できる方法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. リンゴせん定枝の堆肥化は、チッパーによりせん定枝をチップ化する必要があるが、 機種によりチップの粒度は異なり、粗いチップAと細かいチップBがある(図1)。
  2. チップBを堆肥化した堆肥Bでは、チップAを堆肥化した堆肥Aに比べて堆積中の温度が低く、腐熟が遅れる傾向がある(図2)。これは、堆肥Bではチップ粒度が細かい上に踏圧して堆積したため、密度が高くなりすぎたものと考えられ、チップ粒度が比較的細かい場合、堆積の際、踏圧しない方がよい。
  3. しかし、コマツナ幼植物に対する生育阻害がみられないことから、チップの粒度にかかわらず、半年程度の堆積で腐熟した堆肥が作成できたと考えられる(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. リンゴせん定枝堆肥の作り方は図3に示すとおりである。窒素源は、石灰窒素等の化学肥料のみでは腐熟が十分進まないので、腐熟促進材として鶏ふん、または鶏ふんと石灰窒素の組み合わせもの(C/N比が30程度)を添加する。
  2. 紋羽病の危険性のある園地では、紋羽病助長の危険を避けるため、1年以上堆積したものを使用することが望ましい。
  3. せん定枝の破砕に使用したチッパーの価格は、A(自走式、10馬力)が約70万円。B(22馬力)の自走式で約250万円、同性能の牽引式が約140万円である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 リンゴせん定枝の早期堆肥化技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2000〜2003年度
研究担当者 坂本 清
発表論文等 坂本・青山(2004)土肥誌 75(5):583-591