ブドウの展葉期におけるツマグロアオカスミカメの加害と防除 |
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[要約] |
ツマグロアオカスミカメの幼虫は展葉直後から新梢先端付近の柔らかい幼葉や幼花穂を吸汁加害する。加害部位は葉では生育に伴って大小の穴があき、幼花穂では花蕾が消滅する。展葉直後にフルバリネート水和剤を散布すると、被害を軽減できる。
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[キーワード] |
ブドウ、ツマグロアオカスミカメ、加害様相、加害時期、防除対策
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[背景・ねらい] |
青森県の主要果樹の一つであるブドウにおいて、葉にたくさんの穴があくカスミカメムシ類の被害が目立っている。そこで、加害種や加害様相を解明し、防除対策を確立して被害の軽減を図る。
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[成果の内容・特徴] |
- 発生種
ツマグロアオカスミカメ 
- 加害時期
- 4月下旬頃、赤みがかった乳白色をした長さ1mm程度のバナナ状の卵が発芽間もない芽の綿毛(写真1)の中にみられる。
- 5月上旬頃の展葉直前に口針を持った体長1mm程度の若齢幼虫の吸汁加害がはじまる(写真1)。
- 幼虫は成虫になる6月上旬頃まで、新梢先端部の柔らかい葉や幼花穂を吸汁加害し続ける。
- 加害様相
- 葉では最初、暗褐色の小斑点を生じ、やがて大小の穴があく(写真2)。被害は基部葉から4〜5位葉までに多い(図1)。
- 幼花穂では花蕾だけでなく、小花房まで消滅する場合がある(写真2)。
- 防除対策
フルバリネート水和剤(商品名:マブリック水和剤20)は、若齢幼虫の吸汁加害が始まる展葉直前(5月上旬)の1回散布で高い防除効果を示す(表1)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 本種加害の初期症状は黒とう病の初期症状に類似するが、症状がみられる新梢付近には幼虫が認められるので容易に識別できる。
- 本種の越冬形態は未確認である。
- 前年に被害症状がみられた園地では、展葉直前の薬剤散布を必ず実施する。
- フルバリネート水和剤はツマグロアオカスミカメにおいて、希釈倍数が8,000倍、使用時期が収穫30日前まで、使用回数が2回以内の農薬登録である。
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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ブドウ害虫の発生生態と防除 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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1997〜2004年度 |
研究担当者 |
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村井智子 |
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