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不織布ポットを用いた根域制限栽培によるカキ「蜂屋」の低樹高化

[要約]

カキ「蜂屋」の栽培において、容量が70または120Lで、側面が貫根型、底面が透水性遮根型の不織布ポットを用いて根域制限栽培をすると、樹高は3m以下になり、収量は結実3年目で2.5t/10aを達成できる。

[キーワード]

カキ、蜂屋、根域制限、不織布ポット、低樹高

[担当] 宮城農園研・園芸栽培部・果樹チーム
[連絡先] 電話022-383-8132、電子メールmarc-kk@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 カキは植栽から結実開始まで長い期間を要し、樹齢とともに樹高が高くなり作業性が低下する。そこで干し柿原材料用品種「蜂屋」を材料として、容量及び形状の異なる果樹大苗育苗用不織布ポットを用いた根域制限を行い、低樹高を可能とする技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 容量が70Lまたは120Lの不織布ポットを用いると、地植えと比較して樹がコンパクトになり、樹高を3mに抑えることができる。また、70Lまたは120Lのポットは30Lのポットより収量性が高い(表1)。
  2. 不織布ポットを用いると、地植えと比較して樹がコンパクトになる(図1表2)。Aタイプは最も収量性、生産効率が高く、強風、枝折れ等の被害を受けにくい。
  3. 植栽から樹齢4〜5年生頃までは無せん定で管理すると初期収量が上がり、収量は結実3年目で2.5t/10aを達成できる。(図2)。
  4. 植栽距離は、列間3.5m、樹間2mとする。
[成果の活用面・留意点]
  1. 植栽は春植えを基本とする。方法は、植穴をポットの大きさに応じて掘ってポットを埋設する。あらかじめ用意した用土(山砂、黒土、堆肥を等量混合したもの)をポットに入れ苗木を植栽する。その際ポット上端部をわずかに地表面に出す。植栽後は地上約70〜80cmで苗木を切り返し枝の発生、伸長を促す。
  2. 植栽時に支柱を設置する際、不織布ポットの底面に穴を開けないように注意する。
  3. 植栽から1〜2年程度は乾燥しないように適宜灌水する。
  4. 樹齢5年を超える頃から無せん定樹では樹冠内部の光環境が悪化して枝の枯れ上がりが生じてくるのでせん定作業が必要である。
  5. 70Lまたは120LのAタイプの不織布ポットの価格は、500〜600円/個である。
  6. 施肥は結実期以降窒素成分で20kg/10a相当量をポット毎に施用する。
  7. 台木はマメガキ台を用いる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 中山間地に適したカキの生産性向上と軽労化技術の確立
予算区分 県単
研究期間 2000〜2004年度
研究担当者 池田裕章、菊地秀喜
発表論文等 池田・菊地(2002)東北農業研究:175-176