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リンゴわい化栽培における低樹高化および生育調節剤による省力化

[要約]

リンゴ「ふじ」わい化栽培において、摘花剤利用により摘果作業時間の約35%、摘葉剤利用により摘葉作業時間の約20%を省力化できる。また、低樹高化により脚立を使用しないで主要な栽培管理作業が可能となり、収穫作業時間の約20%を削減できる。

[キーワード]

リンゴ、ふじ、わい化栽培、摘花剤、摘葉剤、低樹高化、省力化

[担当] 東北農研・総合研究部・総合研究第4チーム、果樹研・リンゴ研究部・栽培生理研究室
[連絡先] 電話019-643-3496、電子メールtmasuda@affrc.go.jp
[区分] 共通基盤・総合研究、果樹・栽培、東北農業・果樹
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 我が国のリンゴ産業は、樹体の老木化や労働者の高齢化などにより生産基盤の弱体化が進行しており、リンゴの摘果や摘葉作業など栽培管理作業の省力化が強く求められている。そこで、リンゴ「ふじ」わい化栽培において、摘花剤および摘葉剤の利用による摘果・摘葉作業の省力性、並びに低樹高化による収穫作業の省力性について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 「ふじ」わい化栽培における摘花剤(石灰硫黄合剤、ギ酸カルシウム)の効果は処理区によりバラツキがみられるが、石灰硫黄合剤+ギ酸カルシウム処理区で最も強い摘花効果がみられる。10a当たりの摘果作業時間は、対照区の71.33時間(100%)に対して、処理区は45.0時間(63.1%)〜56.6時間(79.4%)であり、最大で摘果作業時間の約35%の削減が可能である(表1)。
  2. 「ふじ」わい化栽培における摘葉剤(キノキサリン系・DEP水和剤)の効果は、収穫50日前処理、収穫40日前処理の順で、特に、果そう葉で高い。10a当たりの摘葉作業時間は、収穫50日前、または40日前の摘葉剤処理により摘葉作業時間の約20%の削減が可能である(表2)。
  3. 「ふじ」の低樹高栽培(JM7台)では、定植8年生で、樹高2.66m、最高着果部位1.82mであり、脚立を使用しないで主要な栽培管理作業が可能である。また、1ton当たりの収穫作業時間は、一般栽培の3.20時間(100%)に対して、低樹高栽培は2.54時間(78.8%)であり、低樹高化により約20%の削減が可能である(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 「ふじ」わい化栽培における主要な栽培管理作業の省力化指標として利用できる。
  2. 摘花剤(石灰硫黄合剤とギ酸カルシウムを使用)の経費は、6600円/10a、摘葉剤(キノキサリン系・MEP水和剤)の経費は、6000円/10aである。
  3. 摘花剤、摘葉剤の効果は、樹勢、処理時期、気象条件などの影響を受けるので、それにともなって摘果作業や摘葉作業の省力の程度は変動する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 新摘花剤・摘葉剤等新技術の体系化による省力化
課題ID 05-01-06-01-03-04
予算区分 リンゴ
研究期間 2001〜2004年度
研究担当者 増田哲男、中元陽一、藤澤弘幸、別所英男(果樹研)、工藤和典(果樹研)、猪俣雄司(果樹研)
発表論文等 1)増田ら(2003)東北農業研究.vol.56:149-150. 2)増田ら(2004)東北農業研究.vol.57:161-162.