岩手県における「わい化葉取らずふじ」の販売方策 |
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[要約] |
葉取らずふじは、ふじを基幹とする大規模経営体において、自家労力の軽減が必要な場合に導入する。導入の際、単収及び生食向け製品率が低下するので、隙間の販路開拓(ニッチャー戦略)を行い、試食や小売販売で消費者の認知度向上を図る等の販売方策が必要である。
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[キーワード] |
葉取らずリンゴ、販売方策、ニッチャー戦略
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[背景・ねらい] |
着色管理作業を省力化し、さらに高糖度を生かした販売ができる可能性がある食味本位の「葉取らずリンゴ」について、県内で導入が試みられている「わい化ふじ」を対象に、販売方策を検討する。
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[成果の内容・特徴] |
- 葉取らずふじ導入経営体の位置づけ
栽培に適した樹相が弱樹相であるため、通常のふじに比べ、単収及び生食向け製品率が低下する特徴がある。ただし、着色管理作業の軽減が可能であることから、ふじを基幹とする大規模経営体において、自家労力の軽減が必要な場合に導入する(表1)。
- 販売方策の必要性
高糖度を生かした差別化商品としての販売ができるので、産地名声の確保・維持に効果があることから、見た目の悪さ及び経営体の販売量低下を極力補い、高単価で取引するための販売方策が必要である(表1)。
- 販売方策
- 販売チャネル
県内産葉取らずふじの販売実態から、同一小売店で、他産地の葉取らずふじや他のブランド商品と一緒に販売することは不利になることがわかるので、葉取らずふじの販売実績のない小売店の探索=「隙間の販路開拓(ニッチャー戦略)」が必要である(表2)。
- 販売地域
甘さ、蜜入りという内部品質に対する重要度や消費者の求める最適小売価格は、首都圏より盛岡市近郊が高いので、盛岡市近郊は消費拡大が期待できる地域であり、ニッチャー戦略展開上の参考にする(表3、図1)。
- 消費者へのPR戦略
消費者は内部品質を重視していて、その重要度は試食により向上しているので、試食PRが効果的である(表3)。
- 製品戦略
現在、県内産はギフト品主体の販売であるが、葉取らずふじを知らない人が多くいて求心力に乏しいことや、自家消費用としてのニーズが高いことから、自家消費対応の小売販売も必要である(表3)。
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[成果の活用面・留意点] |
- わい化葉取らずふじの導入に当たっては、弱樹相の見極め等の高度技術を要するので、研究・普及機関との連携を図ること。
- 盛岡市はリンゴ消費量の統計値が高いことから、販売地域については、リンゴ消費量の多い他地域も配慮する余地がある。
- テストマーケティングを行い、販売方策の効果を検証する必要がある。
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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食味本位リンゴの消費流通評価 |
予算区分 |
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国庫(地域基幹) |
研究期間 |
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2002〜2004年度 |
研究担当者 |
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阿部哲哉 |
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