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消費者の購買行動をふまえた特別栽培米の販売方向

[要約]

量販店・卸売業者において、特別栽培米の取り扱いは、生産ロットが少ないこともあり、販売先がほとんど決まっているものだけで、「差別化」して販売することは難しい。特別栽培米の販売先として「栽培法」を重視する消費者を抱える生協等が有望である。

[キーワード]

特別栽培米、差別化、栽培方法、コンジョイント分析

[担当] 宮城農園研・情報経営部・経営チーム
[連絡先] 電話022-383-8119、電子メールmarc-kk@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・経営
[分類] 行政・参考

[背景・ねらい]
 宮城県では、町域や広域JA単位で、特別栽培米に取り組む地域が増加している。特別栽培米の販売については、各JAとも工夫を凝らしているが、「産地ブランド」を確立するまでにはいたっていない。そこで、「卸売業者」や「量販店」の聞き取りをもとに、特別栽培米の販売方向を把握し、またコンジョイント分析から消費者の志向する米について明らかにする。
[成果の内容・特徴]
  1. 「卸売業者」において特別栽培米の取り扱いは、生産ロットが少ないこともあり販売先がほとんど決まっているものだけであった。全国規模の卸は、特別栽培米の販売先の確定していない「差別化は困難である」としている(表1)。
  2. 全国規模の量販店は、特別栽培米のプライベートブランドをもっているものの、種類は少ない。
     県内M生協で、取り扱っている米の多くは、「農薬・化学肥料節減栽培」(宮城県表示認証済み)もしくは「産直農薬基準」における栽培法による米であり、「M生協ブランド」として確立している(表2)。
  3. 消費者が志向する米を、明らかにするためにコンジョイント分析した結果、「M生協」で米を購入している消費者は、「栽培方法」を特に重視しており、「スーパー等」で米を購入している消費者は、「価格」を重視している。また、「スーパー等」で購入している消費者は、地域で取り組んでいる様々な情報を求めていることが明らかになった(表3)。
  4. 特別栽培米の販売方向としては、「栽培方法」重視の消費者を抱え、産地の活動が反映される米を扱っている「M生協」のような販売先の確保が必要である。
[成果の活用面・留意点]
  1. コンジョイント分析に関する調査は、M生協(家庭班利用者)組合員920通配布 回答220通(有効回答率23.9%)、当研究所消費者モニター(仙台市在住)330通配布 回答222通(回答率67.3%)の分析結果である。
  2. コンジョイント分析の属性・水準の設定に当たっては、M生協取扱の産地・販売価格・栽培方法を参考に設定している。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 みやぎの環境にやさしい農産物栽培技術体系の確立−水稲編 II期−
予算区分 県単
研究期間 2003〜2005年度
研究担当者 泉澤 弘子、小池 修