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大豆・小麦立毛間播種栽培2年3作の生産技術体系および導入モデル

[要約]

立毛間播種機を用いて、大豆・小麦を2年3作するための生産技術体系である。負担面積を勘案して、10ha規模の生産技術体系とする。1作目大豆と3作目大豆の作期が一旬ずれるため、負担面積の2倍の作付が可能である。導入モデルでの試算所得は3,258千円/年である。

[キーワード]

立毛間播種、2年3作、ダイズ、コムギ、生産技術体系、導入モデル

[担当] 岩手農研セ・農産部・生産工学研究室
[連絡先] 電話0197-68-4415、電子メールCE0008@pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・作業技術、東北農業・畑作物
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 寒冷地の水田地帯では、大豆の収穫時期と麦類の播種時期が重なることが多いため、2年3作の技術は定着しておらず、一部地域では、不安定な間作などが行われている現状である。そこで、より安定した大豆・小麦の2年3作体系の実現のため、立毛間播種栽培を確立するとともに、生産技術体系として取りまとめる。
[成果の内容・特徴]
  1. 大豆・小麦立毛間播種栽培2年3作(大豆−小麦−大豆)の生産技術体系
    1. 大豆・小麦立毛間播種栽培2年3作の生産技術体系は表1である。
    2. 負担面積を勘案して、10ha規模の生産技術体系とする(表1)。
    3. 労働時間は1作目大豆4.58時間/10a、2作目小麦4.65時間/10a、3作目大豆4.80時間/10aである(表1)。
    4. 2年3作分の総労働時間は14.04時間/10aである(表1)。
  2. 導入モデル
    1. 1作目大豆と3作目大豆の作期は一旬ずれることから、負担面積の2倍の作付が可能である(表1)。
    2. 水田団地における大豆・小麦立毛間播種栽培作付率40%、作付面積20ha(10ha×2ブロック)としてブロックローテーションを行う導入モデル(図1)での試算所得は3,258千円/年である(表2)。慣行大豆栽培と比較すると、2作目小麦作により所得が向上する(表2)。
    3. この導入モデルでの総労働時間は1,404時間/年である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 生産技術体系の目標収量は大豆225kg/10a、小麦360kg/10aである。
  2. 生産技術体系の詳細は大豆・小麦立毛間播種栽培マニュアルを参照すること。このマニュアルは配布可能である。
  3. 本成果情報はブロックローテーションを前提としており、水田を永続的に畑地として利用する場合には、雑草管理および肥培管理の面でさらに試験が必要である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 寒冷地における立毛間播種機利用による麦・大豆輪作栽培技術
予算区分 国補(地域基幹)
研究期間 2001〜2004年度
研究担当者 藤井智克、八重樫耕一、荻内謙吾、佐藤千秋、加藤満康、井村裕一
発表論文等 藤井ら (2004) 農機学会東北支部報51:19-22