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アスパラガスの収穫作業を軽労化する収穫用台車

[要約]

アスパラガス収穫用台車は、本体に回転式座席とコンテナ積載台を有し、作業者自身を動力として背面方向に進行する。収穫用台車の利用は慣行よりも収穫作業の作業負担度、作業者の背部と脚部の作業姿勢評価値が改善するため、収穫作業を軽労化できる。

[キーワード]

アスパラガス、収穫用台車、作業負担度、作業姿勢

[担当] 秋田農試・機械施設担当
[連絡先] 電話018-881-3314,電子メールm-katahira@agri-ex.pref.akita.jp
[区分] 東北農業・作業技術
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 アスパラガスの収穫は、作業者が腰の曲げ伸ばしを行いながらハサミや鎌による手作業で地際から一本ずつ切断するため、労働負荷が極めて高く軽労化が望まれている。そこで、アスパラガスの収穫に簡単に利用できる収穫用台車の開発を行い、作業負担度と作業姿勢の改善による軽労化をアスパラガス生産現地で実証する。
[成果の内容・特徴]
  1. アスパラガス収穫用台車は、作業者が両足で地面を蹴りながら背面方向に進行する(図1)。
  2. アスパラガス収穫用台車は回転式座席(回転角:360°)、コンテナ積載部、移動用レバー、ラグ式タイヤ(前輪:二輪、後輪:二輪)で構成される(図1)。
  3. 作業者は、回転式座席を用いてアスパラガスと正対しながら1.8h/10aの作業能率で収穫を行い、かつ収穫物を機体正面に位置するコンテナまで身体をひねらず収納できる(図1)。
  4. アスパラガス収穫用台車は、全工程で作業姿勢評価値が1.0点、作業負担度が1.8点/10aとなり、慣行作業よりも収穫作業全体で作業姿勢評価値が2.3点、作業負担度が0.5点低下する(表1)。
  5. OWAS法で行った作業姿勢評価では、慣行作業よりも改善が不要と評価されるAC1の割合が全工程で高まり、収穫作業全体でAC1の割合が80ポイント増加した(表2)。
  6. アスパラガス収穫用台車の利用は、慣行と比べて作業者背部で前後曲げとひねり姿勢、脚部で両膝を曲げる姿勢がAC1にそれぞれ改善され、収穫時の作業姿勢を良好にできる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 回転式座席の位置は、作業者が作業しやすい位置になるように前後輪を連結する軸上で調整を行う。
  2. アスパラガス収穫用台車は、1.7〜2.0mの畦幅に対応する。
  3. 直進性を高めるため、前輪の止め具に付属する左右のボルト長を調節する。
  4. 本作業機は、市販化を検討中である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 新省力機械化を中心とした高度水田輪作技術体系の確立
予算区分 県単
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 片平光彦
発表論文等 片平光彦(2004)機械化農業12月号:12−15
片平光彦ら(2004)農業機械学会東北支部報51号
片平光彦ら(2003)農業機械学会東北支部報50号:29−32