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寒冷地におけるグラウンドカバープランツ苗の動力吹付工法の適応性

[要約]

グラウンドカバープランツ(以下、GCPと記載)苗の動力吹付工法を寒冷地で施工する場合は、GCP適品目を選択することにより法面緑化が可能である。

[キーワード]

グラウンドカバープランツ、寒冷地、法面緑化、動力吹付工法

[担当] 岩手農研セ・農産部・生産工学研究室
[連絡先] 電話0197-68-4415、電子メールCE0008@pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・作業技術
[分類] 行政・参考

[背景・ねらい]
 法面緑化の工法は、一般的に安価な種子吹付工法が採用されているが、一方では景観形成と雑草抑制を目的としたグラウンドカバープランツによる緑化が注目されている。
 GCP苗を用いた動力吹付工法(以下、当工法と記載)は、兵庫県立北部農業技術センター、椛蝟{組、吉田建設鰍フ三者共同開発の特許工法(「空気式混合による植物苗の吹付け緑化工法」特許第3088984号、1999年)により実用化されているが、東北地方での施工実績はない。
 よって、この工法による施工3年目までの被覆推移を調査し、寒冷地における動力吹付工法の適応性を検証する。
[成果の内容・特徴]
  1. 施工3年目までの被覆状況から、寒冷地での当工法によるGCP苗の法面緑化は可能である。当工法を夏季施工した場合、翌年(施工2年目)の6月末までに全体の60%から90%が被覆され、7月末には80%からほぼ全面が被覆される。(図1
  2. 当工法の施工単価(直接工事費)は、現場の施工条件(土質、法面勾配、土壌硬度)により増減するが、K市の施工例では4,634円/m2 である。
    また、施工時間は約1時間/100m2であり、同時間で同面積を手植えする場合は、24人の人手を要する。(図1)
  3. 維持管理(手取り除草)には年2回程度の作業が必要である。また、作業時間は、越冬後(施工2年目春)の被覆が早い品目(配合1、2)では、施工2年目で約14時間/100m2、施工3年目で約11時間/100m2であり、3年目の管理は軽減される。(表2)
[成果の活用面・留意点]
  1. GCP品目及び配合(組み合わせ)は、平成11年度研究成果「県北地域におけるグラウンドカバープランツの有望品目とその特性」(岩手県県北農業研究所)を参考として選定したものである。
  2. 各配合の総合的評価(被覆程度、雑草抑制、景観等)については、今後のGCP品目の植生遷移を調査し検討する。
  3. 当工法の特長は、GCP数品目(3〜4品目)のセル成型苗を専用緑化基盤材等とともに圧縮空気で混合攪拌し、植生基盤上に吹き付けて法面緑化を行う工法である。(施工工程は参考図を参照のこと。)
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 寒冷地におけるグラウンドカバープランツの動力吹付け緑化工法の実証
予算区分 国庫
研究期間 2002〜2004年度
研究担当者 須藤勇人、大志田建男
発表論文等 須藤ら (2004) 農業土木学会東北支部総会第48回研究発表会 5-12