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イチゴの四季成り性を検定するDNAマーカー

[要約]

イチゴの四季成り性遺伝子座に連鎖したDNAマーカーを利用して、四季成り性と一季成り性を検定することができる。

[キーワード]

DNAマーカー、ISSR、SSR、イチゴ、四季成り性

[担当] 宮城農園研・バイオテクノロジー開発部・遺伝子工学チーム
[連絡先] 電話022-383-8131、電子メールmarc-kk@pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・生物工学
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]
 イチゴの四季成り性品種は、日長に関わらず花芽分化するため、夏秋期に生産ができる。この四季成り性の遺伝は、単一優性遺伝子を仮定した理論分離比によく適合することが知られている。そこで、DNAマーカーによる四季成り性と一季成り性の幼苗検定技術を確立するため、四季成り性遺伝子座に連鎖するPCRを利用したDNAマーカーを開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. ISSR(Inter-Simple sequence Repeat)マーカーのISSR110(436bp)とISSR116(575bp)(図1a、b)をクローニングし、塩基配列中にある縦列反復配列を挟むようにSSRマーカーのMSFA110とMSFA116のプライマー対を設計している(図1c、d)。
  2. MSFA110とMSFA116の両マーカーは、四季成り性遺伝子座の片側に座乗している。四季成り性品種「エバーベリー」の自殖第一代84系統から算出した四季成り性遺伝子座との組換え価は、それぞれ8.9%と23%である(表1)。マーカー選抜した場合に推定される四季成り性の適合率(実際の四季成り性系統/マーカーで四季成り性と判定した系統)は、それぞれ96%と82%である。
[成果の活用面・留意点]
  1. プライマーの塩基配列については問い合わせに対応する。
  2. MSFA110は2塩基の縦列反復配列,MSFA116は6塩基の縦列反復配列をもつ。これら縦列反復配列に依存した4塩基以上のPCR産物の長さの違いは、2〜5%TBEアガロースゲルで確認できる。
  3. MSFA110とMSFA116は、SSRマーカーの特徴である多対立遺伝子(multi-alleles)をもつ。四季成り性品種と一季成り性品種の遺伝子型の違いとともに、四季成り性品種間の遺伝子型も識別できる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 園芸作物育種におけるDNAマーカーの開発
予算区分 県単
研究期間 2001〜2003年度
研究担当者 千葉直樹、足立陽子、鹿野弘、中村茂雄
発表論文等 特許出願中