高窒素濃度堆肥を用いたキャベツ、スイートコーン50%減化学肥料栽培技術 |
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[要約] |
キャベツ、スイートコーンにおいて、乾物窒素濃度が2%前後〜3%前後の堆肥を見かけの窒素利用率を20〜40%と推定して、化学肥料の50%を代替施用することで、慣行並の収量を得ることができる。
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[キーワード] |
堆肥、キャベツ、スイートコーン、減化学肥料
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[担当] |
岩手農研セ・生産環境部・土壌作物栄養研究室 |
[連絡先] |
電話 0197-68-4423、電子メール CE0008@pref.iwate.jp |
[区分] |
東北農業・生産環境(土壌肥料) |
[分類] |
技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
特別栽培農産物では、化学肥料由来窒素の投入量を慣行の1/2以下にする必要があり、有機物による化学肥料の代替が重要な技術となる。県内で多く生産されている牛ふんを主体にした堆肥は、窒素成分の低さと緩やかな肥効特性から、化学肥料の代替資材とはならなかった。しかし、家畜排泄物法を発端として、県内各地に堆肥センターが設置され、これまでよりも窒素濃度の高い堆肥が生産されるようになった。そこで、キャベツ、スイートコーンを対象として、高窒素濃度堆肥(以下、堆肥)を用いた化学肥料代替技術について検討する。
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[成果の内容・特徴] |
- 春まき夏どりキャベツにおいて、乾物窒素濃度が2.6%、3.0%の堆肥をそれぞれ見かけの窒素利用率30、40%と推定して、化学肥料の50%を代替施用することで、慣行並〜以上の収量を得ることができる(図1)
- スイートコーンにおいて、乾物窒素濃度が2.0%〜3.0%の堆肥を見かけの窒素利用率20%と推定して、化学肥料の50%を代替施用することで、慣行並〜以上の収量を得ることができる(図1)
- 夏まき秋どりキャベツにおいて、乾物窒素濃度が2.0%〜3.0%の堆肥を見かけの窒素利用率30%と推定して、化学肥料の50%を代替施用することで、慣行比90%〜110%の収量を得ることができる(図1)
- 以上より、乾物窒素濃度別の見かけの窒素利用率を表1の通りとする(表1)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 堆肥から十分な量のリン酸とカリが供給されることから、化学肥料は窒素のみの施肥とする(表2)
- 土づくりのため、乾物窒素濃度1.8%未満の堆肥を2000kg/10a施用する。
- 基肥として施用する堆肥は、播種・定植の3日〜7日前に施用する。
- 堆肥の投入量が慣行より過大となり、土壌中養分の蓄積が懸念されることから、定期的に土壌診断を行って、本技術利用の可否を判断する。
- 本技術で言う見かけの窒素利用率とは、堆肥と化学肥料を併用した場合の見かけの利用率であり、本来の堆肥からの窒素供給量や利用率ではないので注意すること。
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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家畜排泄物等の有機物資源を活用した特別栽培農産物生産技術体系の確立
岩手県内生産主要堆肥の成分特性に基づく化学肥料代替使用法の確立
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予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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2002〜2004年度 |
研究担当者 |
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小田島ルミ子、高橋正樹、高橋良学、多田勝郎 |
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