畑地における牛ふん堆肥の窒素利用率と腐熟度の簡易診断 |
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[要約] |
畑地における牛ふん堆肥の窒素利用率は、堆肥の全炭素(C)を1/15Mリン酸緩衝液抽出法による窒素(N’)または0.5M硫酸カリウム溶液抽出法による窒素(N’)で除したC/N’と高い負の相関がある。また、リン酸緩衝液の抽出液のろ過時間は堆肥の腐熟程度に関係し、腐熟度を判断する指標の1つとなる。
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[キーワード] |
牛ふん堆肥、窒素利用率、腐熟度、簡易診断
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[背景・ねらい] |
牛ふん堆肥は原料、副資材によって成分や窒素利用率が異なり、環境に負荷を与えない適正な施用量を把握することが難しい。また、堆肥の腐熟度は判断する指標が様々あり、明確な基準も示されていない。そこで、堆肥等の成分や窒素利用率、腐熟度を測定するには多くの労力を要するため、低コストで迅速な堆肥の簡易診断法を検討する。
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[成果の内容・特徴] |
- 牛ふん堆肥の窒素利用率は、堆肥の全炭素(C)を1/15Mリン酸緩衝液抽出法による窒素(N’)または0.5M硫酸カリウム溶液抽出法による窒素(N’)で除したC/N’に反比例する(表1、2)。リン酸緩衝液抽出法による関係式は次の通りである(図1)。
堆肥の見かけ上の窒素利用率(%)= -0.2015×C/N’+36.341(r=-0.975)
C:堆肥の全炭素(g/kg)、N’: PEON+無機態N
PEON:堆肥から1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)で抽出した有機態窒素(g/kg)
無機態N:堆肥のアンモニア態窒素+硝酸態窒素(g/kg)。
- 堆肥の腐熟度は、1/15Mリン酸緩衝液の抽出液のろ過時間に関係し、未熟な堆肥ほどろ過時間が長くなる(図2)。完熟堆肥の目安は、30〜40分以内である。
- 堆肥のリン酸緩衝液抽出法は次の通りである。
- 粉砕堆肥(1mm)2gに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)50mLを加えて1時間振とうする。
- ガーゼを2枚合わせて抽出液をこし、粗大固形物を除去する。
- 抽出液を撹拌後、TOYO
No.6ろ紙(直径110mm)を4つ折りにしてガラス製ロートにセットし、メスシリンダーにろ過。ろ液が10mLに達する時間を測定する。→腐熟度診断
- No.6ろ紙でろ過した抽出液10〜20mLに硫酸10mLと分解促進剤を加えて加熱分解。
- 分解液中のアンモニア態窒素を水蒸気蒸留法で測定。
- 測定値には堆肥中のアンモニア態窒素も含まれるため、別法で測定した硝酸態窒素を加算してN’(PEON+無機態N)とする。→窒素利用率診断
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[成果の活用面・留意点] |
- 本試験で用いた牛ふん堆肥の窒素利用率は、農試土壌(細粒褐色森林土)を使用して1/2000aワグネルポットで6週間×3作栽培したキャベツの窒素吸収量から求めた(表1)。
- 牛ふん堆肥、牛ふんバーク堆肥、牛ふん籾殻堆肥、籾殻堆肥について、完熟は製品として販売されているもの、中熟は2次発酵中のもの、未熟は1次発酵中のものを採取した。
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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土壌バイオマスコントロールによる持続型土づくりの確立 |
予算区分 |
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県単 |
研究期間 |
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2003〜2005年度 |
研究担当者 |
: |
森岡幹夫、熊谷勝巳 |
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