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中干し期間の長期落水処理によるメタン発生の低減

[要約]

中干しの開始を1週間早めることにより、水稲の生育、収量に大きな影響を及ぼすことなく、水田からのメタン発生量を1/2程度に抑制することができる。

[キーワード]

メタン、イネ、中干し、早期落水

[担当] 福島農試・農芸化学部
[連絡先] 電話024-932-7787、電子メール nousi.aac@pref.fukushima.jp
[区分] 東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 中干し期間の長期落水により、水稲の生育、収量に大きな影響を及ぼすことなく、水田からのメタン発生量を低減する水管理技術の確立を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. メタンフラックスは落水処理により減少し、落水処理が長い区ほど減少程度が大きい。入水後、メタンフラックスは緩慢に上昇し、落水期間の長い区ほどメタンフラックスの上昇は緩慢である(図1)。
  2. 落水処理によりEh値が上昇し、中干し期間の長い区ほど高くなる。入水後、Eh値は低下する(図2)。
  3. 中干し期間の長期落水処理により全生育期間におけるメタンの総発生量は慣行の1/2〜1/3程度に抑制することができる(表1)。
  4. 中干しを2週間程度早める場合、幼穂形成期の茎数がやや少なく、収量も低下する。一方、中干しを1週間早める場合、水稲の生育や収量に影響がみられない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本情報は水稲品種「コシヒカリ」を供試し、細粒質普通灰色低地土で行った結果によるものである。
  2. 水田からのメタン発生の制御技術開発のための基礎資料となる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 わが国とアジア諸国の農耕地からの実効的なCH4、N2O抑制技術の開発
 イ水管理によるメタンガス発生抑制効果の実証
課題ID 福島2004-6-8-1-2
予算区分 環境省地球環境研究総合推進費
研究期間 2004年度
研究担当者 齋藤隆、中山秀貴、横井直人