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ダイズのジャガイモヒゲナガアブラムシの後期多発型発生と被害解析

[要約]

後期多発型発生の後期の密度ピークは8月下旬〜9月上旬にあり、多発時の密度は100個体/小葉を超える。ピークに達し早期落葉の直前の密度が高いほど、葉の被害面積率、落葉率は比例して増加し、子実重、100粒重、完全粒歩合は比例して減少する。

[キーワード]

ダイズ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、後期多発型発生、被害解析

[担当] 宮城古川農試・作物保護部
[連絡先] 電話0229−26−5108、電子メールSakuhoG@faes.pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・生産環境(病害虫)
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]
 2000年以降、ジャガイモヒゲナガアブラムシの後期多発型発生によるダイズの吸汁被害が問題となっている。被害の特徴は、吸汁による葉の黄化、褐変化及び早期落葉による収量・品質の低下である。しかし、密度や葉の被害面積率、早期落葉が収量・品質に与える影響については、これまで定量的な解析は行われていない。密度、被害面積率、落葉率は時間的に大きく変化するため、被害を査定するにあたっては、どの時点での値を指標として被害解析を行うかが問題となる。ここでは、密度がほぼピークに達し、落葉が起こる直前における密度と被害面積率、落葉率、収量との関係について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 後期多発型発生の後期の密度ピークは、8月下旬〜9月上旬にある(図1)。
    多発時の小葉あたりの密度は100個体を超え、最大700個体程度である(図2)。
  2. 後期の密度ピーク時の発生密度が高いほど、小葉の被害面積率及び落葉率は比例して増加する(図3)。
  3. 後期の密度ピーク時の発生密度が高いほど、子実重、100粒重、完全粒歩合は比例して減少する(図4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 後期多発型発生の発生ピーク時期については、地域性がある可能性も考えられるので注意する。
  2. 後期多発型発生の被害査定に利用することができる。
  3. 経済的被害許容水準や要防除密度を策定する基礎資料となる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 ダイズにおけるジャガイモヒゲナガアブラムシの発生予察法の確立
予算区分 県単
研究期間 2001〜2004年度
研究担当者 小野 亨、城所 隆、星 信幸
発表論文等 小野ら(2004)北日本病虫研報 55:180-185.