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糯における双胚米発生実態と双胚米種子自殖による双胚米発生の再現性

[要約]

「ヒメノモチ」の複数年産玄米の双胚米発生率には年次変動があり、0.004ないし0.023%の低率で発生した。双胚米種子由来個体と正常米種子由来個体を自殖した場合、双胚米発生率に有意差はない。

[キーワード]

イネ、糯、双胚米、発生実態、再現性

[担当] 岩手農研セ・農産部・水稲育種研究室、水田作研究室
[連絡先] 電話0197-68-4413、電子メールCE0008@pref.iwate.jp
[区分] 東北農業・水稲
[分類] 科学、参考

[背景・ねらい]
 双胚米は玄米側面の溝が深く、搗精しても溝深部に糠層が残る。糯加工において、切り餅の表面に残存した糠が現れた場合、異物が混入したように見え、不良品を発生させた事例がある。また実需者からは、年次により双胚米由来の不良品発生率の多少があると指摘されている。
 このことから双胚米発生実態について調査する。また双胚米多発系統の存在が知られているので、双胚米種子由来個体の自殖における双胚米発生の再現性について確認する。さらに主たる環境要因の一つとして、低温の影響について検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 「ヒメノモチ」の複数年産玄米の双胚米発生率は0.0041〜0.0233%(北上)、0.0049〜0.0152%(江刺)と極めて低く、年次による変動がみられる(表1)。
  2. 「ヒメノモチ」の双胚米種子由来個体と正常米種子由来個体とを各々自殖させた場合、双胚米発生率に有意差はない(表2)。したがって、双胚米種子由来個体から必ずしも双胚米が発生するものではない。
  3. 「ヒメノモチ」正常米種子由来の稲体に対して減数分裂盛期、出穂始期からそれぞれ4日間と7日間の低温処理を行った結果、1事例について双胚米発生がみられる。しかし、発生率が極めて低く、発生率に対して調査規模が小さいこともあり、低温処理と双胚米発生率との間には明確な関係がみられない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 双胚米発生に与える低温の影響については、今後さらに検討する必要がある。
  2. 双胚米発生は糯特有の現象ではなく、粳にもみられる。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 優良種子生産のための双胚米の発生要因の解明
予算区分 県単
研究期間 2004〜2005年度
研究担当者 仲條眞介、高橋政夫、木内豊