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「主稈葉齢進度モデル」を用いた幼穂形成期の予測精度向上

[要約]

「主稈葉齢進度モデル」の出葉間隔を、宮城県「ひとめぼれ」の出葉間隔に変更すると、県内における「ひとめぼれ」の幼穂形成期の予測精度は向上する。

[キーワード]

水稲、主稈葉齢進度モデル、出葉間隔、幼穂形成期、予測

[担当] 古川農試・水田利用部
[連絡先] 電話0229-26-5106、電子メールアドレスPaddyg@faes.pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・水稲
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
「主稈葉齢進度モデル」は予測開始日と予測開始時の葉数、主稈総葉数を設定してアメダスデータを用いて主稈葉齢の進度を予測し、またその葉齢指数から止葉展開期までの生育ステージを予測する。このモデルは東北6県の主要7品種を用いて作成されており、地域・品種を限定することで予測精度が向上すると考えられる。そこで、宮城県「ひとめぼれ」の出葉間隔を求め、より高精度の幼穂形成期予測を行う。
[成果の内容・特徴]
  1. 1990〜2003年の宮城県古川農試作況試験における移植時から9.1葉(不完全葉を1葉とする)までと、11.1葉から最終主稈葉数までの出葉間隔は、それぞれ53.5、121.8(℃日葉-1)となり、モデルの41.4、97.8(℃日葉-1)よりも大きい(図1)。出葉間隔が異なった要因のひとつとして、モデルでは主稈総葉数15葉の場合の出葉間隔を用いているのに対し、宮城県における一般的な主稈総葉数は13〜14葉であることが挙げられる。
  2. モデルの出葉間隔で主稈葉齢を推定すると推定値は10葉期以降観測値より約1葉早く推定するが、求めた出葉間隔で主稈葉齢を推定すると推定値は観測値とほぼ一致した(図2)。
  3. この出葉間隔を用いて1999〜2002年の県内14調査ほの幼穂形成期(幼穂長1mmとする)を推定した結果、推定値の誤差平均はそれぞれ3.4、4.1日で、モデルでの推定値の誤差平均11.0、10.9日よりも小さい(表1)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 移植時葉齢を用いて生育予測をする場合、葉齢が進んだ苗では植え傷みなどにより推定誤差が大きくなるため、活着後の葉齢を用いることが望ましい。 
  2. このモデルをインターネット上で公開し、生産者が栽培管理に活用することができる。
  3. 「主稈葉齢進度モデル」は1999年及び2001年の東北農業成果情報を参考にした。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 変動気象下における作物生産支援シミュレーションモデルの構築、
やませ気象下の水稲生育・被害予測モデルと冷害回避技術の開発
予算区分 国庫(受託)
研究期間 2001〜2003年、2004〜2006年
研究担当者 結城裕美、島津裕雄、日塔明広
発表論文等 結城・日塔(2004)日作東北支部47:37‐38