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窒素追肥の時期が水稲の最終主稈葉数と出穂期に与える影響

[要約]

水稲「ひとめぼれ」において、幼穂分化始期直前の追肥は最終主稈葉数を増加させる。ただし、葉数進展を加速するため出穂期の遅れは1〜2日である。

[キーワード]

主稈葉数、出穂期、水稲、追肥、窒素、ひとめぼれ

[担当] 宮城古川農試・水田利用部
[連絡先] 0229-26-5106、Paddyg@faes.pref.miyagi.jp
[区分] 東北農業・水稲
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]
 窒素栄養は最終主稈葉数や出穂期に影響を与える要因の一つとして知られ、現場では出穂時期の違いを窒素栄養で説明する場合が多い。しかし、培地の窒素濃度は出穂までの期間に大きな影響を与えず、また、品種によりその程度が異なることが、環境を制御できる温室水耕栽培試験によって明らかにされている。ここでは、水稲栽培現場において追肥が「ひとめぼれ」の出穂に与える影響を追肥時期との関係において検討した。
[成果の内容・特徴]
  1. 追肥時期に関わらず、追肥は次葉抽出時の葉身窒素濃度を無追肥の場合より高くする(図1)。
  2. 穂首分化期と推定される10葉抽出時(不完全葉を1葉とする)の追肥により、4〜5割の主稈で最終葉数が無追肥の場合(12枚)より一枚多くなる。他の時期の追肥が最終主稈葉数に与える影響は小さい(図2)。
  3. 追肥は追肥直後の葉齢の進展を速める(表1)。
  4. 平均最終主稈葉数の0.4〜0.5枚増加は、無追肥の場合であれば展開速度がおおよそ0.1枚/日であることから4〜5日の遅れに相当する。しかし、追肥により葉の展開速度が速まるため出穂期の遅れは1〜2日となる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 葉齢を利用したモデルを用いる場合の参考となる。
  2. 出穂の変動要因を考察する上で参考となる。
  3. 稚苗を移植し、基肥を窒素として3gm-2(慣行栽培は5gm-2)、追肥を3gm-2として行った結果である。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 気象変動に対応できる高品質・良食味みやぎ米の安定生産技術の確立(2001-2003年)
予算区分 県単
研究期間 2002〜2003年度
研究担当者 山本晶子、佐々木美和、我妻因信
発表論文等 佐々木ら(2004)日作東北支部報、47:1-2